「暑いときは暑く、寒い時は寒いほうが商品が売れる」。
これは小売業界で以前から言われてきた言葉だけれど、今年の冬は暖かかったり寒かったりで、まったく荷動きはわるく、月末の着地が不安で、現役をすでに退いてはいるものの、少しばかり鬱気味の今日この頃である。
「暑いときは暑く、寒い時は寒いほうが商品が売れる」なんて昔から言い古されてきた言葉で自己弁護などせず、例え客数が同じであっても、客単価が上がれば売上高は伸びるはず。
客単価×客数=売上高
と念仏のように唱え、どこかに抜け道はないものかと営業部員を鼓舞し続ける毎日なのだが、なかなか思うようにはいかない。
子どものころ、毎年、夏休み前に日々の計画をきめ細かく決めるのだが、実現できたためしがない。
盛りだくさんな予定を書き込んだ計画がいけなかった。
苦手な算数をともかくものにしよう。
たったそれだけでよかったのだ。
会社の「経営改善計画書」のテーマも「売上高経常利益率」をあげることにある。「売上高経常利益率」をあげることに成功すれば、すべての数値が自ずと改善されていく。
前置きはこのぐらいにして、㈱ T-logistics の前社長が立案した「経営改善計画書」の三期目・四期目・五期目を見てみよう。
その前に「経営改善計画書」の概略をもう一度見ておくことにする。
具体的な改善策
改善実施項目
売上高の増加
運行部門
集荷・配達コースの再編:消費低迷により取扱荷物の減少した結果不採算集荷・配達コースが増加。
単価の見直し:積載効率75%を想定して単価を決めてきたが、積載効率の低下により、長年行ってこなかった価格交渉を行う。
取り扱い商品の見直し:衣料雑貨部門以外にも手を広げる。
貸切等の新分野にも進出
物流加工部門
信用力の高い大口取引先の取引シェアを拡大
変動費の低下
傭車単価の見直し
物流加工部門の取引シェア拡大により自社から出る荷物が増加し、運送部門の集荷の手間が省略しうる
固定費の削減
人件費削減
運送部門
配達と集荷の時間に空き時間が多い:集荷作業と配達作業の空き時間に新たな仕事を加える。
物流加工
現行の業務プロセスを見直すことで、生産性を向上。現状の人員でまかなえるようにする。
組織体制の整備
創業者の孫を中心とする、経営革新チームを配置し、現状分析から始めて、種々の改革の企画とその後の管理をさせる。
社員を巻き込んだ経営改善進捗会議を毎月開催し、進捗管理の徹底とモチベーションの向上を図る。
以上の具体的な改善策を盛り込んだ「経営改善五年計画」
「経営改善五年計画」三年度
「経営改善五年計画」四年度
「経営改善五年計画」五年度
まとめ
運輸部門の総利益は14%から16%と若干の改善。
会社全体の総利益では黒字同業者20%を超える21%に。
お願い
ただ表を眺めているだけでは何も会得することはできません。
貸借対照表と損益計算書からかならず「資金収支表」を作成して、すべての表の数値を確認してください。
それだけのことをするだけで、計数の理解が深まってきて、かならず御社の問題点を見つけることができるはず。