つい一月ほど前まで、半袖だったのに、真冬のような寒さにかわり、足元には膝掛をして、長袖シャツにジャンバーを羽織り机に向かっています。

一昨日のこと、わたしの勘違いがもとで、もっと震え上がるような寒気を覚えました。

出社をするために机の上を片付けていると、いつもなら電気スタンドの脇に、文房具と一緒に並べてある、USBが入った革製の「小銭入れ」がどこにも見当たらない。

孫たちの誕生した時からの写真、書き溜めた小説、管理会計の勉強のために蓄積した資料などを保管してある「USB」の入った「小銭入れ」は、わたしにとって、ほかの何物にも代えられない、大切なものだった。

テーブル、座布団、ひざ掛け、カバンの中、紙袋の中まで何度も探し回ったのですが、やはりどこにも見当たらない。

そして前日、部屋にやってきた孫二人が、「じじは、お金を持っていないの」と尋ねてきたのを思い出したのです。

孫たちは、ばばが、ほとんど毎日のように、近くのスーパーまで買い物にでかけることは知っているし、何かをおねだりしたいときには、一緒についていくこともしばしば。

ですから「ばば」がお金を持っていることは当然知っています。

でも「じじ」が財布を持っているのを見たことはなく、本を買うにも「ばば」から千円札を何枚かもらって、お釣りを返している様子をなんども見ています。

実は、五歳と三歳の姉弟は、二人で「お買い物ごっこ」をしたかったらしく、そのための小銭入れが必要で、わたの部屋に顔を出したらしいのです。

「じじは、財布なんか、もっていないよ」

尿を我慢していたわたしがトイレに行っても、二人は部屋から立ち去らず、部屋の隅に重ねてあった来客用の座布団の上に飛び乗って遊んでいました。

翌朝、USBを入れた小銭入れがどこにも見つからなかったので、てっきり孫たちが持って行ってしまったものと思い込んで、嫁に探しておいてほしいと頼んで出社した。

ところが、社員から捺印を求められて「代表社印」を取り出そうとしてカバンを開けたところ、あれだけ何度も探したはずの「小銭入れ」が、なんと真っ先に、目に飛び込んできたではありませんか。

捺印後、すぐに自宅に電話をして、嫁に、「小銭入れ」がカバンの中にあった旨を伝え、「嫌な思いをさせてしまった」ことを心から詫びました。

でも、可愛がっていた孫たちを疑ってしまった

心の奥に潜んでいた、自分の醜い思いは、終日後を引きました。

せめてものお詫びに、帰宅途中にケーキ屋さんに立ち寄り、罪ある自分の分は除き、ほかの家族七人全員にショートケーキを買って(財布を持っていないのに、その代金は?ですって。実は確定申告をして支払わなければならない税金を、毎月わずかずつですが、貯めておいてあるのです。その現金の中から払いました)、「ごめんなさい」と深く頭を下げて嫁に手渡しました。

ケーキを見て孫たちは大喜び。

すぐにわたしのところに飛んできて、「じじ、ったら。ぜんぜん気にしなくてよかったのに」とやさしく慰め、キスをしてくれました。

「こんなかわいい孫たちを疑ってしまったなんて、おれはなんと嫌な人間なのだろう」

「じじの机は絶対に触ってはいけない、と子供たちには、いっも言っているから、安心して」

孫たちの父親長男の言葉。

翌朝

「じじの買ってきてくれたケーキ、すごくおいしかったよ」、と孫娘が見せてくれた明るい笑顔。

それと反対に、自分が許せなくて、「醜い」と、ますます深みに陥っていく「じじ」。

さて本題の「経営企画の立て方」に入ります。

計画を立てるからには、何を改善しようとしているのかの「テーマ」が明らかにされていなければなりません。

「経営計画の立て方(34)」でお話ししたように、T-Logistics社の「損益計算書」を拝見すると、「売上高」の次の「売上原価」は「仕入高・傭車料・外注作業費」だけで、それ以外の「人件費・経費」のすべては、「販売費および一般管理費」としてまとめられているので、その「改善目標」を探し出すのに、時間がかかり過ぎてしまいます。





一般管理費の中に含まれてしまっている「製造原価」を明らかにすることで、次のような「損益分岐点分析」を作成できるようになり、「改善目標」を立てやすくなります。