人の一生とは、どうしてこうも、頭を煩わせるようなことばかりが続くのだろう。
だから解決を求めてたくさんの本を読み漁ったり、心を休めるために、ときには音楽に耳を傾け、絵画に心を奪われて、一瞬の平安を得ようとする。
経営者も同様で、平静を装ってはいるけれど、毎日が崖の淵を歩いてようなものだ。
社員たちは気楽でいいなと思っているかも知れないけれど、生きることが苦しくてならず、一度ならず二度、三度と死ぬ覚悟を決めた経験のある経営者は少なからずいるはずだ。
でもその苦しみがあったからこそ、人は鍛えられていくのかも知れない。
ずいぶんと前のことになるが、肝心な資金繰りを、人任せにしていたことがあって、ある日出社して顔を合わせた途端に、
「今月末に資金が1500万円ほど不足します」
と言われ、大慌てをしたことがある。
借り入れをするためには、少なくとも三か月前には銀行に申し込み、必要な資料を整えて提出しなければならない。
資金が不足するといきなり言われたって捻出できるわけがない。
亡父の遺産を取り崩すことでそのときはどうにか凌げたが、資金繰りを人任せにしてはいけないと、自分で資金繰り予測表の作成に取り組み始めたのはこのときからである。
でも毎日帳票類をチェックして資金繰り表を確認するのは、して出来ないことはないけれど、時間がかかりすぎて社長業に差し障りがでる。
そこで思いついたのが、期のはじめに各部門から「損益計算書予算」が提出された時点で即「貸借対照表予算」の作成と取り組み、作り上げた「暦月資金収支表予算」を「資金繰り表」の代用とすることだった。
こんな経験を積み重ねることで、これまでに何度も述べてきたように、いまだに完璧な「貸借対照表予算」は作り得てはいないけれど、資金が不足する時期は、数か月前には把握できるまでなれた。
「今月末に1500万円ほど資金が不足します」
これはわたくしへの神の言葉であった。
もしこの言葉がなかったら、わたし太郎は、いまだに資金の流れを掴むことができずにいたことだろう。
人の悪口をいくら言ってみたところで、何の解決策も見出すことはできない。とそのときにはじめて肝に命じた。
それでは本題に入ることにします。
今回のテーマは、これまで勉強してきたことを応用して、暦月の資金収支表を作成し、経理から提出のあった実績資金繰り表の現預金増減と照らし合わせてみます。
㈱ T-logistics の資料をかりて、まず4月度からはじめることにします。
貸借対照表予算作成シート
貸借対照表予算の作成
貸借対照表予算の完成度を実績で確認する
参考 経理提出の実績資金繰り表
まとめ
以上の四表を見てどんなことに気づかれましたか。
現預金の増減が、予算と実績で大幅なずれがある?
よく気づいてくださいました。
それは貸借対照表の固定負債の額に違いがるからです。
月末の返済日が休日だったため、当座から落ちるのが翌一日になり、実績では落とされていなかった。
「何だか自分でもできそう」
そうでしょう。
でも自動車の運転方法の本を何冊読んだどころで、自動車の運転は出来るようになりません。実際に運転をしてみることです、
是非ともこれらの表をそのまま真似て、自社の暦月資金繰り表の作成のぜひ取り組んでください。