大学の時、母方の叔父に頼まれて、年の離れた従妹に英語を教えていたことがある。

「発音は少しも役には立たなかったけれど、きちんと組織だった教え方をしてくれたので、英語が好きになれた」、などと小生意気なことをいう超美人の従妹は、名門県立女子高校に入学した。

教科書を手にした従妹は新学期が始まる前に、すでに書き込みで真っ黒になるほど、教科書を読み終えていた。

そして卒業時には、最難関の国立一期校とやはり二期校の難関である外国語大学の二つに合格していた。

しかし同じ血がつながっているにもかかわらず、受験勉強が大嫌いだったわたしは、従妹とは大違いで、教科書は学年を終えても新品のままだった。

ただ二年時の英語の副読本、シュトルムの「インメンゼー」だけは、夢中になって読んだ。いつもは赤点すれすれの英語が、この副読本だけは、クラスでトップを争うほどの好成績をあげた。ただし三年時の副読本マークトウェインの「カリフォルニアンズテイル」はまったく関心をもてず、再び赤点すれすれに戻ってしまった。

今読み返すと「これは実にいい話だ」と残念に思う。里帰りした新婚の妻の帰りを予定日の木曜の晩になるたびに待ち続けている夫。そして彼を支える隣人たち。とくに結末近く、事情を知らない夫の来客に、隣人の一人が語る文章は、涙なくして読めない。

“She? Poor thing,she’s been dead nineteen years !”
“Dead?”
“That or worse. She went to see her folks half a year after she was married,and on her way back,on a Saturday evening,the Indians captured her within five miles of this place,and she’s never been heard of since.”

That or worse.を訳すなら「死よりももっと悪いこと」。

連れ去られた彼の妻はおそらくインディアンの妻となっている。

でも彼女は知らないだろうけれど、いまだに気が狂わんばかりに彼女の帰りを待ちわびている夫がいる。

それは限りなく悲しいことだけれど、でもとても幸せで素敵なことだね、と物語を読み返すたびにわたしは彼の妻に祝福の言葉を送っている。

いまでこそ、このようなことが言えるけれど、高校時代のわたしには、大人の世界のことは関心が持てなかった。

そんなわけで、ただ無味乾燥でしかない受験勉強から逃れて、FM放送で音楽を聴きながら、好きな小説をそれこそ何度も何度も繰り返して読み続けているうちに、いつの間にか白々と夜が明け始める。

眠い目をこすりながら、登校するのだ。授業が頭に入るはずもない。

東京大学法学部を出た司法試験崩れの担任からは、「眠くなったときは太ももを錐で突き刺してでも目を覚ませ!」、と指導を受けたこともあった。

通知表が来るたびに、あまりの成績のひどさに思い余った亡き母は、高名な占い師を訪ねて相談した。

占い師はわたしの生年月日をみた途端に、「挫折は多いでしょう。でも強運の持ち主ですから心配など不要です。好きなようにさせておきなさい」と言っていたそうな。

強運の持ち主かどうかはわからない。

今振り返ると、確かに数えきれないほどの挫折は経験した。

でもそれらの挫折が、幸運なことに、すべて糧となって今があるのは否めない事実なのだ。

さて今回もプロットの勉強をしてみた。選んだのは東野圭吾の小編『霊視る みえる』。

東野圭吾は大阪府立大学電気工学科卒。理系の強さをいかんなく発揮し、「探偵ガリレオ」のように、文科系ではとても書けない作品を書き続けている。


 人物相関図(霊視る みえる 東野圭吾)




さあ本題の「キャッシュロー計算書(資金繰り予測)」に入りましょう。
自転車でも自動車でもそうですけれど、教本をただ読んでいるだけでは、決して運転ができるようにはなりません。かならず自分の手で苦労しながら「キャッシュロー計算書(資金繰り予測)」に取り組んでみてほしい。

 損益計算書1月予算



 貸借対照表1月予算

 

 利益金処分案1月予算



 資金繰り予算1月