前にも書きましたが、会計には「税務会計」と「管理会計」の二つがあって、税理士や公認会計士の仕事は「税務会計」そして会社を経営するために代表者が知っておかなければならないのが「管理会計」。
資金を無尽蔵に持っている会社ならともかく、「管理会計」を学ぼうとしない、あるいは知ろうとしない代表者とは、明かりもつけずに、真っ暗闇の中を車で走り回っているようなもの。
計数が分かり始めると、(客数✕客単価=売上高)✕店舗数 という「経営の基本」がやがて見えてくるようになる。
投資以前にしなければならないこと
① 客数をいかにして上げるか
② 客単価をいかにあげるか
この二つに、絞れるだけ頭を絞ることだ。
それもせずにいて、むやみに投資に突き進んでしまうというのは、会社を危険の淵に追い込むようなものだ。
わたし太郎には苦い経験がある。
幸いにも危機には至らなかったのだが、人の無責任な甘口、誉め言葉「時代を先取りできる数少ない考えの持ち主」を真に受けて、能力もないくせに大変な無駄遣いをしてしまった覚えがあるのだ。
当時の「思い上がり」・「自惚れ」・「慢心」・「新しがり」・「自画自賛」は、思い返すたびに恥ずかしくなる。
「汗顔の至り」とはまさにこのことをいうのだろう。
亡父が築き上げた取引先は、一流企業ばかりである。当社が今日まで継続しえたのも、ただただひとえにそのおかげだである。
二世社長にはダメなものが多い、とよくいわれるけれど、わたしは確実にそのなかの一人に入るのだが、人は失敗の中から学んでいくものだとも思ってもいる。
わたしは経理がするのとは別の会計(管理会計)を、まがりながらも会得できたのは、これらの失敗の経験があったからこそである。
計数を会得できたから、会社を維持し続けることができはしたけれど、ただそれだけのことしかできずに終わり、市場性のあるあらたな仕事を創造し、それを培い、会社をおおきく飛躍させる礎を築くという、社長本来の仕事をまったく成しえなかった。
(客数✕客単価=売上高)✕店舗数 という経営の基本を理屈では分っていても、これでは真に理解できているとはいえない。
トラックは積載効率が高ければ高いほど収益が高くなる。
倉庫や工場も同じだろう。
倉庫にまだスペースがある。工場に機械を備え人もいるけれど、60%しか稼働していない。それでもそこそこの収益はあげている。
稼働していない残りの40%を埋めるには、高い単価の仕事を取ってくる必要はない。
どんなに安い仕事でもいい。倉庫や工場の100%稼働を目指せば、60%を超える仕事はすべて収益になるのだから、客単価を上げる仕事を生み出す努力はもちろん大切なことだが、レストランのランチメニューのように、客数を増やす努力も同時に必要になのではないだろうか。
よく例えられるのは、空席を残したまま旅客機を飛ばすのではなく、空いた席を安い航空運賃の客で埋めること。
ただしこれは老人の戯言。
さて「暦月資金繰り表」の作成も残すところあと一回。
これさえ会得できれば、「経営改善計画書」の作成は難しいことではありません。
頑張りましょう。