私たちの修学時代、生徒・学生の評価は、中間テスト、期末テストのできによって、クラス・学年での評価が決まり、その人の人柄のとか家庭環境などはほとんど評価されなかった。

銀行からの会社評価も同様で、決算書の財務データが最重視され、過去の取引実績、暖簾、業界での評判などが斟酌されることはまずありません。

決算書にはしっかりと過去の事業実績が反映されているので、業績が低迷している会社には酷な評価となる。

修学時代、偏差値70を超えることを目標に、友人との語らいとか音楽や読書、睡眠時間さえも割いて、学業に専念しなければならなかったように(残念ながらわたし太郎にはそれができなかった)、銀行の企業評価項目は「決算書の財務データ」・「企業環境」・「企業特性」それぞれを点数化して算出した総合点に基づいて、「信用格付」が行われる。

信用格付けは10から15段階にランク付けされ、その結果は以下の通りとなる。

日本政策金融公庫(元 中小企業金融公庫)「経営改善支援セミナー」資料から。

① 高格付けほど金利が安い
② 高格付けほど担保・保証等がゆるやか
③ 高格付けほど審査機関が短い
④ 低格付けになるほど金利が高くなる
⑤ 低格付けほど担保・保証条件が厳しくなる

項目配点
「決算書の財務データ」(配点200点)
① 安全性
② 収益性
③ 成長性・規模
④ 債務返済能力
「企業環境」・「企業特性」(配点100点)

ランク付け  「決算書の財務データ」・「企業環境」・「企業特性」
1(リスクなし)    180点以上       90点以上
2(ほとんどリスクなし)160点以上       80点以上
3(リスク些少)    130点以上       65点以上
4(良好水準)     100点以上       50点以上
5(平均的水準)     80点以上       40点以上
6(許容範囲)      50点以上       25点以上
7(管理徹底)      50点未満       25点未満
8(警戒先)
9(停滞先)
10(事故先)

格付けに影響する勘定科目
「貸借対照表」
 自己資本
 使用総資本
 固定資産
 短期借入金
 長期借入金

「損益計算書」
 売上高
 営業利益
 経常利益
 減価償却費
 受取利息・配当金
 支払利息・割引料 

「格付け向上のためにすべきこと」
 利益率のアップ
 自己資本額の増額
 有利子負債額の圧縮
 使用総資本の圧縮 

わたしは31歳の時に、12億の借金を有する会社を、亡父から引き継ぎました。

わたしの人生はしたがって、「ただ借金を減らすことだけのみに送ってきた」、と要約できるでしょう。

でも、もし借金がなかったとしたら、計数を会得することはできなかった。

わたしは生来の怠け者なので、無借金の会社をもし引き継いでいたとしたなら、計数を学ぶこともなくとっくの昔に会社はなくなっていて、いまごろホームレスとして路頭を彷徨っていたかも知れません。

過去を振り返るとほんとうに情けなくて、恥ずかしくなることばかりだけれど、その過去があったからこそ今があるのだとも思う。

「マイナス掛けるマイナスはプラス」。みなさん! 何があってもくさることなく、経営者としての人生に挑戦し続けてまいりましょう。