わたし太郎は時代小説の愛読者の一人です。

菊池寛、山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平、葉室麟らの作品は、いつでも読み返せるように、わたしの寝床の頭上に置かれた、書棚に並べてあります。

特に剣術が好きなわけではなく、そこに描かれている大人たちの、凛とした生き方に心惹かれてならないのですが、床に伏して目を閉じていると、剣術道場に入門した少年たちが、技を競い合いながら、やがて頭角を現していく、そんな少年たちの声が、不思議なことに聞こえてくることがよくあるのです。

わたしは「文章」と「管理会計」の稽古を、パソコンの前に座して、「ワード」と「エクセル」を使って、勉強し続けてきました。

生来の怠け者であるこのわたしが、「文章」と「経営分析」だけが、どうしたわけでしょう、いくら時間をかけても没頭し続けていることができるのですから、自分のことながら信じられません。

きっと下手な横好きといったところなのでしょう。

でも夢中になれることを持っているということは、ひょっとすると、幸せなことなのかも知れません。

ただ教科書を学ぶだけではなく、「文章」を書くにも「管理会計」をものにするにあたっても、どうしても「工夫」ということが必要になります。この「工夫」こそが「想像力」・「創造力」の源なのではないか、と思うのです。

読書好きな人は大勢います。

しかし、ただ読むだけではもったいない。

読み終えたなら必ず、「本のプロット(設計図)」と「登場人物ひとりひとりの役割」を書き残しておく。

そんなことをする人はおそらく少数派でしょう。

しかし、書き残しておこうとする「工夫」のなかから、経営者として欠かすことのできない「創造力」・「創造力」が磨かれていく。

二世経営者のみなさん。

決算を終えるごとに、「貸借対照表」と「損益計算書」から「財務諸指標」を作成して、暦年の「財務諸指標」のなかに書き加えておいてください。

そして前期決算の「貸借対照表」・「損益計算書」と当期決算の「貸借対照表」・「損益計算書」を使って、「キャッシュフロー表」・「資金移動表」・「資金収支表」の「資金三表」を忘れずに作成してほしい。

さらには月々の「試算表」が提出されたらすぐに、少なくとも「資金三表」のうちのひとつ、どれでもいいですけれど、おすすめするのは「資金移動表」、できれば「資金三表」のすべてを自らの手で作り上げ、経理が振替伝票から作成した「実績資金繰り表」と必ずチェックしてみてください。

「工夫」・「工夫」の連続が、経営者の「計数」を磨き上げていってくれるはずです。

そして今日は「経営分析」の最終回。

前回の「経営分析まとめ1」では、㈱ T-logistics(暦年資料)のひとつである「暦年財務諸指標」を載せておきました。

ほとんどの指標は業界の水準を超えていますが、気になるのは「資産に係る指標」です。

㈱ T-logisticsをながらく苦しめてきた原因にはいくつかありますが、そのなかで一番大きく数値をわるくしたのは「21期」の全額長期借入金で賄った「商品センター」の土地の購入でした。

「固定負債」と「有形固定資産」が20期の「163.7」から一挙に21期「847.2」へと「683.5」も大きく跳ね上がり、㈱ T-logisticsは「借金の返済」に加えて「支払金利」が「経常利益」を圧迫し続け、以来「資金繰り」で苦しみ続けることになったのです。

さらにその三年後、この苦しみから脱出しようと、さらに借金を重ね、新規事業を開始しましたが、それもうまくいかず、いばらの道を歩く続けなければならない仕儀となりました。

事業を継続するためには仕方がなかったとは言え、以来経営者は、「投資の恐ろしさ」を身をもって実感することになった出来事でした。

前回の「経営分析まとめ1」と今回の「経営分析まとめ2」添付資料をじっくりと味わってみてください。

次回は「原価分析」を「テーマ」にとりあげてみたいと思います。

㈱ T-logistics(暦年資料)より




最後に、「新型コロナウイルス感染者数」
(朝日新聞朝刊社会面掲載資料から再加工)

増加し続ける感染者数