七月中旬まで長雨が続き、ようやく梅雨が明けたと思ったら、とたんに猛烈な酷暑に襲われ、そればかりか、会社の自室の空調も老朽化で壊れてしまい、体調を崩してしまった。
二年前の夏、それもまだ日が昇らない早朝に、三日続けて草むしりをしただけで、熱中症との診断をうけ、点滴を受けた。
当時とそっくり同じ状態になり、用心して、お盆休みの間はほとんど自室にこもって、転寝をして過ごす毎日を送った。
実に情けない話である。
でも、気分のいい日には、近くにある商業施設まで、早朝の散歩に出かけてみた。
空にはもう刷毛ではいたような秋の雲が浮かんでいて、両側から空を覆う街路樹からは、しきりに鳴く蜩のこえが聞こえていた。
行く手にまっすぐに伸びる歩道のわきに植えられた街路樹の隙間から、昇り始める太陽が望めた。
突然前方を歩いていた、すらったした体型をした白髪の老人(おそらくわたしと同じぐらいの年齢だろう)が立ち止まると、東の空にシルエットとなって浮かぶ家々の上に登り始めた太陽に向かって手を合わせた。
佇み太陽に向かって合掌している老人の姿は神々しかった。
わたしも慌てて、もちろん心の中だけでしたのだけれど、太陽と老人の背に向かって、手を合わせていた。
わずか三十分ほどの散歩だったけれど、シャワーを浴びたら気分が少しだけよくなった。
本棚から宮部みゆきの作品『ぼんくら』をとりだすと、冷たい板の間に寝転んだ。
同居する長男夫婦と孫たちが、夏休みの思い出つくりに、キャンピングカーで出かけたので、ほんのひと時の休息を得た妻が、テレビでドラマ「ぼんくら」をみていたのを思い出したのである。
わたしは読書の方が好きだから、テレビはほとんど見ない。
厚さが513頁ある本を、164頁から167頁まで読み進んだとき、このような文章に出会った。
「湊屋の身代は、総右衛門が一代で築きあげたものである。彼の前身や生まれ育ちには知られていない部分が多い。(中略)湊屋総右衛門の二人の息子(中略)宗一郎、宗二郎(中略)ふたりとも、湊屋の父の元で働いている。宗一郎の方はゆくゆく父親の跡を取り、そのときは総右衛門の名を受け継ぐのだそうだ。だが町場の噂では、二人とも父親の器量には遠く及ばない凡々たる器で、取り柄といえば派手な女遊びや博打に興じることのないおとなしい人柄だけだという。もっとも平四郎は、二代目というのは案外そういう安全な人間の方がよかったりするものだから、他人がそうそう心配してやることはないだろうと思っていた」
「他人をそうそう心配」させた者の一人であるわたくしなどは、この文章を読んだとたんに、宮部みゆきという作家が気に入ってしまった。
また長々と駄弁を弄してしまった。
本題に入ろう。
今回のテーマは「損益分岐点分析」
ここで取り扱う問題は以下の6つである。
① 「変動費率」、「限界利益率」は、それぞれいくらか。
② 「損益分岐点売上高」はいくらか。
③ 「損益分岐点比率」、「経営安全率」は、それぞれいくらか。
④ 経営計画で立案した「目標経常利益」を上げるのに必要な売上高はいくらか。
⑤ 今後売上高の3%ダウンが避けられないとしたら、経営計画で立案した「目標経常利益」をあげるには、いくら固定費を節約しなければならないか。
⑥ 今後売上高の5%ダウンが避けらられそうにない。一方「変動費率」の2%は企業努力により引き下げが可能の見込みである。経営計画で立案した「目標経常利益」をあげるには、固定費をいくら削減する必要があるか。
では前回に取り上げた「某製缶(株)」の「W期」と「X期」の「損益計算書」を使って「損益分岐点分析」をしてみることにする。そのあとで、(株)T-logistics社の「損益分岐点分析」もしてみる。みなさんもこの二つを真似て、必ず自社の「損益分岐点分析」をしてほしい。きっと宝物になるはず。
ご参考までにみなさまにはすでにおなじみである「(株)T-logistics社」の「51期」と「52期」の「損益計算書」をいただいたので、さっそく「損益分岐点分析」を試みた。
期が改まるごとに、社長自らが「経営計画」を立て、新たな目標に向かって挑戦し続けている成果を見てみよう。