銀行は貸出を求める会社から財務諸表の提出を求め、返済能力の有無を判断します。
これまで勉強してきた資金収支表の作成はもちろんのことですが、財務諸表指数を作成し、その会社の健康診断をします。
財務諸表指数のなかで最も重要視しているのが資本収益性です。この頁ではこの資本収益性について解説いたします。
資本収益性が何故もっとも重要視されるのかって?
企業活動の目的は利益の獲得にあるわけですから、投下した資本に対してどのくらいの利益を上げているのかは当然重要なことです。
資本収益性の式
使用総資本経常利益率=使用総資本回転率 × 売上高経常利益率
使用総資本回転率=売上高/使用総資本
売上高経常利益率=経常利益/売上高
使用総資本経常利益率=経常利益/使用総資本
下の資料は日本政策金融公庫取引先データ(平成11年度)による数値です。
上位:優良企業
中位:平均的企業
下位:平均以下の企業
資本収益性の検討
以下のA社・B社の損益計算書と貸借対照表をもとに資本収益性の検討をしてみましょう。
資本収益性(同業者比較)
A社・B社の資本収益性
まとめ
A社・B社ともに、中位の平均的企業といえます。しかしA社は後に倒産し、B社は存続し続けています。
税務署に提出した付属明細書が手元にあります。
A社の役員報酬総額は6千万円を超え、それに対してB社は1千8百万円。
A社の長期未払金(車両リース)の中には1千万円のベンツが計上され、B社ではもちろんトラックのみ。
おそらくB社が危機の時代に、会社を危うくした責任を社長自らがとって、私有財産のすべて(社長からの借入金が13千万円が計上)を投げ打った様子がうかがわれます。
A社は存続しB社が倒産と運命が分かれたのは、会社に対する社長の思いが命運を分けたものと考えられます。
B社の課題は、過大な固定資産をいかに生かすか、そして長期資本収支(次回のテーマ)を一日も早く10年以内にしていくかに絞られています。