「資金収支表とは、損益計算書と貸借対照表から、一定期間の資金の流れを総額でとらえ、現金収支の適合性をみる表」だと「資金収支表(1)」で述べました。
「資金収支表(2)」では、「損益計算書」と「貸借対照表」から「資金収支表」までの流れを説明しますので、御社の決算書を少なくとも三期分、お手元に準備して、これをまねて実際にやってみてください。
それにしてもです。複式簿記を発明した人はもちろんですが、貸借対照表と損益計算書から「資金収支表」を編み出した人たちを、ただただ尊敬するばかりです。もしこの仕組みを知る機会を得なかったなら、今のわたくしは、とうの昔に首をくくっていたことでしょう。感謝、感謝!!
「損益計算書」サンプル
「貸借対照表」サンプル
「損益計算書」サンプルと「貸借対照表」サンプルの各 科目を組み合わせて「資金収支表」の作成
資金収支表の計算式
経常収入(A)= 売上高+営業外収益
―(期末売上債権―期首売上債権)
経常支出(B)=((売上原価+販売費)―減価償却費)
+(期末棚卸資産―期首棚卸資産))
―(期末仕入債務―期首仕入債務)
+(支払利息・割引料+その他の営業外費用)
経常収支(C)=(A)―(B)
固定資産関係収支(D)=△((期末固定資産―期首固定資産)
+減価償却費))
特別損益・その他の収支(E)=特別損益―法人税等引当額
―(期末その他流動資産―期首その他流動資産)
+(期末その他流動負債―期首その他流動負債)
+(期末その他固定負債―期首その他固定負債)
―(期末繰延資産―期首繰延資産)
財務収支(F)=(期末短期借入金―期首短期借入金)
+(期末割手・譲手―期首割手・譲手)
+(期末長期借入金―期首長期借入金)
総合収支(G)=(C)+(D)+(E)+(F)
「損益計算書」・「貸借対照表」サンプルを使って実際に「資金収支表」を作成してみましょう
「資金収支表」の実際
経常収入(A)= 40631+9474
―(64984―71295)=422096
経常支出(B)=((32631+372264)―15173)
+(5565)
+(232―234)
―(20006―21797)
=397076
経常収支(C)=422096―397076=25020
固定資産関係収支(D)=△((76398―86041)+15173)
=-5530
特別損益・その他の収支(E)=-304―0―0)
―(48490―33134)
+(25297―31554)
+(29619―43735)
―(0―0)
=-36033
財務収支(F)=(6000―0)
+(0―0)
+(141859―124388)
=23471
総合収支(G)=(25020)+(-5530)+(-36033)+(23471)=6928
貸借対照表の「現金・預金」は前期が77967、今期は84895で、差引6928の増加。
資金収支表の総合収支6928とピッタリ一致します。
資金収支表を作成することの意味
この資金収支表の意味を簡単に要約すると、
今期「商いで生み出した収支」がプラス25020
「固定資産からの収支」がマイナス5530
「その他からの収支」がマイナス36033
「銀行からの借り入れによる収支」が23471
ということになります。
その結果「現預金」6928だけ増えました、ということになります。
理想をいえば「商いで生み出した収支で」で「固定資産からの収支」、「その他からの収支」、「銀行からの借り入れ収支」のすべてのマイナスがカバーできることです。