今回も経営分析の勉強をする前に、小説のプロット抽出に取り組んでみたい。

このブログを読まれているみなさんのなかに小説を読まれる方がおられるでしょう。

ただ読まれるだけではなく、どのようなプロットで小説が書かれているかを探ってみる。ただそれだけのことで、小説の読み方がかわってまいります。

登場人物たちはそれぞれどんな顔をしているのか。性格はどうか。興味をもっていることは。背丈は高いか低いか。家庭は豊かか貧しいのか。どこに住んでいるか。学歴はどうか。そして小説の中でどんな役割を果たしているのか、などなどを登場人物の一人ひとりについて書き込んでいく。そして、人物描写を終えたら、400字ほどで小説の概要を書いておく。

この訓練を続けていくと、水準のほどはともかくとして、読むに堪えうる小説が書けるようにもなって、小説新人賞に応募すると、かってのわたしのように、予選を通過するぐらいのことはできるかもしれない。

どんな勉強であっても、人から教えてもらうのではなく、あくまでも自分自身んで苦労して、真剣に取り組んでみることだ。

小説をただ一回読んだだけで、書棚に投げ入れたり、古本屋に売ってしまうのは、実にもったいないと思う。

読んだ小説のプロット抽出に取り組み、悪戦苦闘しているうちに、分析力はもちろんのこと、表現力までまでが磨かれてくるから不思議なものだ。

前置きが長くなりました。

わたしが尊敬する先輩に、永井荷風の愛読者がいました。

花柳界を舞台にした作品にわたしにはまったく興味がもてず、読み捨ててしまいましたが、東京郊外に大きな屋敷をもち、八ヶ岳に別荘のある富豪の息子である先輩は、荷風をまねてフランスにまで留学し、帰国後は、経済学部を出ているにもかかわらず、経済学は嫌いだからといって、フランス語だけの教鞭をとって大学教授にまで登りつめた変わり者です。

その先輩の前で、荷風の作品『新橋夜話』を「しんばしやわ」と読み、「バカ。しんきょうやわ、と読むんだ」と、大笑いをされて、とても恥ずかしい思いをした経験があります。

このたびは、岩波文庫「新橋夜話」のなかの一編、「すすみだ川」を選んでみました。

『すみだ川』永井荷風 プロット

『すみだ川』永井荷風 プロット抽出

人物設定
俳諧師松風庵蘿月
年齢60
住所 小梅瓦町
髪型など  禿げ頭
長所短所: 若い時分に経験した若いものしか知らない煩悶不安をポロリと忘れてしまう。年を取ったものと若いものの間には到底一致されない懸隔がある(長吉の印象)
物語の役割:主人公長吉の叔父。親から勘当され、風流三昧の毎日送った叔父なら、学校をやめて役者になることを理解してくれると頼られるも、学業を続けるように言う。病を得た長吉の部屋で見た教科書に挟まれたお糸の写真、お糸にあてた書きかけの手紙に、長吉を役者にして、幼馴染のお糸と添わそうと決意する
職業 もと小石川表町質屋相模屋の跡取り息子
経験 親から勘当され、風流三昧の毎日
家族等 妻お滝 元金平瓶大黒の花魁 妹お豊は今戸の常磐津師匠

常磐津師匠お豊
年齢50
住所 今戸
長所短所:
物語の役割:商人はいつ失敗するかわからないという経験から、息子を大学校に入れて月給取りにしなければと信じ込んでいる。
職業  常磐津で生計を立てる
経験 質屋相模屋番頭が入り婿 火事になり質屋は潰れ、亭主に死別
家族等 一人息子長吉 兄は俳諧師松風庵蘿月

主人公
長吉
年齢18
服 兵児帯ひとつの書生姿
顔 おとなしそうな、弱そうな、色の白い、目のぱっちりとした面長
物語の役割:お糸とは幼馴染。そのお糸が芸者になってしまえば毎日会うことができなくなる。そう思うと、これまで通っていた学校は、幸福とは無関係なもののように思う。芸者姿になって家に戻ってきたお糸に、娘であったお糸、幼馴染の恋人のお糸はあかの他人に等しいものになったと痛感し、芝居小屋であった役者になった友人を見て、自分も学校をやめて役者になろうと目標を立てるも母に反対される。若いころに放蕩三昧をしてきた伯父蘿月なら自分をわかってくれると思って訪ねたものの、もう一年辛抱して学校に通えといわれてしまう。望はついえ、千束町出水で泥水の中を歩き回り風邪をひいて腸チフスになった。
職業 中学生 勉強に関心をなくして落第。役者になろうと決意する。
経験 芝居小屋宮戸座の立見席で、小学校時代の友人で、役者になった吉に出会う。伊井一座の新俳優玉水三郎と書かれた名刺を渡される。

お糸
年齢16
顔 丸顔 口元に愛嬌 目じりが上がる
物語の役割:長吉の幼馴染 恋人 母親が手内職の針仕事をしていたときの得意先に、橋場の妾宅の御新造がいて、お糸の姿を見て芸者にしたいといいだした。御新造の実家は葭町の芸者屋「松葉屋」。
職業 煎餅屋の娘 長唄の稽古のため杵屋に通いもうじき葭町(吉原)の芸者屋に出る

概要:芸者になった幼馴染お糸と長吉の恋のいきさつ。旧制中学に通う長吉は、それまで毎日顔を合わせていた幼馴染のお糸が芸者の道を歩み始めててから、学校をずる休みしては、お糸の顔が見たくて街葭町(吉原)の芸者屋の前を通る。そんなお糸への想いで、学業に身が入らなくなり、留年が決定する。お糸に会えない寂しさを紛らわせようとたまたま観に行った芝居小屋で、役者になった小学時代の同級生と出会い、自分も役者になってみようと思いを定める。しかし学業を辞めることは母が認めない。自分を理解してくれると思っていた伯父からも学業を続けなさいと言われる。行き場を失い、長吉は死の道を選ぼうとする。

わたしもまた長吉のように、高校二年時に転校してきた、まつ毛の長い、勉強のできる同級生に心を奪われて、勉強が手につかなくなったことを、『すみだ川』を読みながら、思い出していた。



またまた、本題の「経営分析」よりも、余談の方が長くなってしまいました。

国税庁の消費税算出式はありますけれど、下の表をまねて、消費税の算出をしてみてください。当たらずとも遠くない税額が算出できるはずです。

消費税の算出は、予算作成にあたっても、資金繰りにおいても大きな影響をもたらします。

予算が提出されましたらすぐに、概算で構いませんので、まえもって計算しておきましょう。