「いきなり常務、専務になる二世、三世経営者は、大学の経営学部や商学部を出ていても、どうすれば売上が増やせるのか、どうすれば利益が出せるのかという根本的なことを知らない」(京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の言葉)。

まさに霧の中である。

この一文を読んだとき、亡父が設立した会社を引き継いだときの自分の姿そのままだと思った。簿記を学んだ経験はまったくなく、商業高校を卒業した女子社員が、ほんとうに神様みたいに見えたほどだ。

定例役員会に出席した、当社の株式を保有する量販店の常務(某都市銀行の支店長経験者)からは、「ああだこうだ言う前に、数字が分からないとね」などとせせら笑われたことだってある。

後に公認会計士試験合格した経理課長からも相手にされず、悶々とした日々を送る中で、本屋に立ち寄って見つけたのが、山口孝著『企業分析 経済民主主義への基礎』だった。残念なことに、この本は絶版になっていて、いまは図書館でしか読むことはできない。

労働者向けにとてもわかりやすく書かれた本だったから、わたしの理解は一気に進んだ。

この本に出合うことがなかったら、わたしはこのようなブログを書き得なかっただろう。

本をまねて、会社の過去の決算書をすべて分析し終えたときに、中小企業金融公庫(現在の日本政策金融公庫)の当社担当者であるSさんから、公庫が主催する、地方銀行融資担当者を対象とする一週間泊りがけの講習会への武者修行をすすめられた。

講習会に出席して驚いたのは、決算書の数字をコンピューターに入力するだけで「経営分析」ができてしまう融資担当者たちは、振替伝票の起票さえできないことだった。

稲盛和夫氏の「京セラフィロソフィー 経営の原点12か条」は兎も角として、二世経営者にとって会得に一番時間を要するのは、決算書を読めるようになることだと思う。

このブログにはかならず「資金収支表」と「製造原価明細書」が添付してある。この「資金収支表」と「製造原価明細書」の二つさえ作ることができれば、決算書が読めたことになる。

決算書さえ読めれば、会社の新たな経営目標を定めることができる。定めた目標を実現できるかどうかは、このブログのテーマではないし、わたしには今もって不得手な分野で、それを得意技とする現社長の息子に譲るしかない。

前置きはこのぐらいにして、㈱ T-logistics の経営改善計画の実施、二年目の成果を見ることにしよう。

 

製造原価明細書(同業他社比較)

経営改善計画実施二年目