会社も人の一生と同じで、いつも順風漫歩というわけにはいきません。

かっての当社がそうであったように、売上高の大きな部分を占める取引先が突然なくなってしまうことだってしばしば起こりうるのです。

わたし太郎はもともと金銭欲がそれほどあるわけではないので、収入が少なくなればその収入に見合っただけの生活をすればいいではないかぐらいにしか思いませんが、大方の人は違って、どなたも大慌てをされるようです。

確かに住宅ローンなどの借金や私立の学校に通われているお子さんを抱えておられるお宅は、わたしのように呑気なことをいってはおられないのは十分に承知しています。

父が在任中、当社は12億もの借金を抱えていました。銀行に支払う利息だけで年間で1億円を超えていたほどです。わたしの経営者としての四十五年間は、借金を如何にして減らすことができるかのみに絞られていました。

経営者の皆さんは既にご存知のことでしょうけれど、支払金利は損益計算書に計上されていますが、返済額は貸借科目ですから、損益計算書にはでてきません。

ですから社員たちからは「利益が出ているじゃないですか」とよくいわれまるのですが、無借金会社ならともかくとして、出た利益から返済金が支払われるため、銀行口座にも会社の金庫にもお金がまったく残っていないということがままあるのです。

でも利益が出ている場合はいいのです。

借金は利益の中から返せますが、利益が出ていないとなるとことは重大です。

甚だしい場合は、担保に入れた所有地の売却を銀行から求められることだってあるのです。銀行も結局のところ自行の利益を最優先しますから、これは当然のことです。

仕事はどうするかって? 

銀行やコンサルタントは、「売却した土地をそのまま借りて地代家賃を払えばいいじゃないですか」といいます。

しかし支払う地代家賃が、借入金の返済額、もしくはそれ以上になることだってあるのです。

売却によって銀行は貸した資金を回収できますが、土地を売却した会社の苦しみは以前に増します。

結局は、企業はどうあっても利益を出し続けなければならないのです。

赤字を三期続けたら経営者としての資質を疑われること必定です。

そこで経営者は、「経営改善計画書」の策定と実行を課し、約束した収支計画の数字の少なくても80%の達成を求められることになるのです。

それもただ「経営改善計画書」を作文すればいいというわけではなく、当然のこととして、肝心要であるこの収支計画の80%が達成できるか否か、が経営者に問われるのです。達成できなければ、見放されてしまいます。

ここで見事な再生をはたした 株式会社 T-logistics の「経営改善計画書」を覗いてみることにしましょう

計画達成に向けて

経営計画策定にあたって

得意先の大半は大手。受注基盤は安定。
消費低迷により取り扱い荷物の数量が減少傾向にあり、収益が悪化。
当経営改善計画に基づき、弊社に強みを生かしつつ、弱点を補完して強固な体質の企業に転換し、収益を確保。

基本方針

運送部門では、集荷・配達体制の抜本的な再構築
物流部門では、作業効率をさらに高め、取引先の満足度を向上。
両部門とも業界水準以上の収益を確保をする。

第一次改善計画の取り扱い項目

運送単価の引き上げ、取扱荷物の幅を拡大し、売上高を増加。
集荷・配達コースの再編を行いコストの削減。
そのために複数のコースに対応できる市区員を育成。
物流加工部門の収益力を高める。
経営改革チームを組織。

自社の特徴の再認識

首都圏を中心に安価な集荷・配達体制を整備。
得意先は大半が大手。取引歴は長く、安価で丁寧な仕事ぶりを評価。
値札付け等の物流加工も担い、得意先の便利性をいっそう高めている。

次回は、損益計算書および貸借対象を通しての「事業概況」を見てみましょう。