改善計画書作成(23)・改善計画書作成(24)・改善計画書作成(25)で過去三期分の財務分析を終えました。
下に添付しておいた「資金収支表」をみてみると、どの期(H24年3月は「経営改善計画実施初年度」にあたります)においても、「経常収支(1)」が一桁になっているのが分かります。
資金収支表の「経常収支(1)」が一桁もしくは赤ということは、「経常利益」がマイナスもしくはゼロであることを意味し、分かりやすく言えば商売で「赤字」を出していたことになります。
商売で赤字となると、「売上高」・「売上原価」・「支払利息」のいずれか、もしくはそれらの三つすべてに問題があったということです。
「売上高」は「客数×単価×店舗数」で表すことができますから、投資のかかる店舗数を考慮に入れないで、「客数×客単価」の見直しのみを考慮にいれます。
「売上原価」は、「仕入」・「外注費」・「人件費」・「諸経費」から構成されますから、このなかから問題点を抽出すると同時に、「一般管理費」も詳細に点検し直してみましょう。
「支払利息」は、「遊休土地」・「不要資産」の売却や利益を出して借入金を返済していく、もしくは経営不振を脱却して銀行のスコアリングを高め、金利を低くしてもらうしか方法はありません。
㈱ T-logistics の財務分析から分かってくることは、「売上高」では「客単価」、こなし切れない貨物量から効率の悪い「外注費」の使い方をしあわせて残業代も嵩んでいる、そして「支払利息」が多い(つまり借入金が大きい)ということに要約されます。
以上から「改善改善計画書作成」のテーマには、①客単価を上げる・②不採算路線を廃止して外注費を削る・③長期借入金を減らすことで債務償還年数を短くしていく、この三点を選択することとなりました。
①客単価を上げる → ながらく据え置いていた運賃を、問屋さんのご理解を得たうえで、一個25円の値上げをお願いすることになりました。 → 年間200万個の荷物を問屋さんから預かって配達していましたので、年間の売り上げ増は、たったのそれだけで5000万円にも上ります。
②不採算路線を廃止 → その結果年間で40万個の荷物が減少することになるので、年間の売上高減少は1000万円目減りすることになります。
① - ② で実質の売り上げ増は40000万円。これにはほとんど経費が不要なので、まるまる「経常収支(1)」において黒字となって反映します。
この結果 ㈱ T-logistics の一番の問題点である長期借入金は、①と②の結果として「経常収支(1)」を大きなプラスに導き、長期借入金の減少を導いていきますので、H22年3月には債務償還年数 ∞ であったものが、経営改善計画実施の五年後には、計算上では10年未満にまで短縮することが可能となっています。
隠忍自重を美徳とする戦後の混乱期に生を受けた旧経営陣は、恩義ある取引先のメリットを最優先し、ただひたすら低額運賃を維持し続けてきましたから、なかなか運賃値上げには足を踏み出せないでいました。
しかし新たに登場した若き新社長の指導の下で、何ものに囚われず、作成された経営改善計画を実行することになりました。
次回からは「経営改善計画」とその実施の成果を見てみることにいたします。
どうかご期待のほどお願い申し上げます。