来期の資金繰り表を作成するには、損益計算書予算だけでなく貸借対照表予算も必要になります。
貸借対照表予算の作成を適当に作ってしまうと、資金が大幅に不足するという、大変な事態に陥りかねません。貸借対照表予算の作成は経営者自身の手で行いましょう。
わたしは経理責任者が提出する資金繰り予算とは別に、損益・貸借予算から作成した資金収支表を使って資金管理をしています。
しかし大間抜けなわたしは、貸借対照表予算を作成するとき、損益計算書に計上される「租税公課」とは別科目の「未払消費税」の中間納付分を見逃したばかりか、流動負債の「未払金」(当社ではこの科目でリース料を計上しています)の相手勘定を固定資産の車両に加えず、ほんとうに馬鹿だったのですね、なんと不用意に現金預金勘定に加えてしまったのです。
その結果中期決算近くになって、一千六百万円もの資金不足をきたし、大慌てをした経験があります。でも失敗は決してムダにはなりませんでした。
わたしを鍛え上げてくれたのは、この失敗があったからです。
貸借対照表で大きく動くのは、運送業の当社の場合は、負債科目の未払金(当社ではリース料をこの科目で処理をしています)・借入金・未払消費税そして資産科目では固定資産(当社ではリース購入をした車両代金を加算)と現金預金勘定です。
資金繰り予算を確実なものにするためには、過去の投資計画、借入返済額、リースの返済額、未払消費税等の資料を手元に、過去三期分の「損益計算書」と「貸借対照表」から、このブログの「資金収支表の作成(2)」を参考に、「実績資金収支表」を作成してみてください。
損益計算書と貸借対照表の各科目の動きが探れたら、それを参考にして、来期損益計算書予算から貸借対照表予算の作成に挑戦してみてください。
もし現預金の残高に大きな食い違いが出ていたら、「あっ! 違っちゃった」で終わらせず、実績貸借対照表と比べ合わせてみてください。
必ずうっかりミスを起こしているはずです。
勘定科目をひとつひとつを慎重に点検していけば、必ず見逃していた原因を発見できるはずです。
貸借対照表予算の完成度が高まれば高まるほど、資金収支表予算(資金繰り表)の確実性がましてきます。
そしてそれはすべての資料をみることのできる経営者あなたにしかできないことなのです。
資金収支表予算の作成さえマスターできたなら、銀行借り入れの際に求められる、「経営計画書」・「経営改善計画書」の作成なども人頼みする必要もなく自信をもって、銀行への説明も詳細にできるようになれます。
次回から、過去の決算書を利用して「資金収支表」作成してみましょう。それができるようになったら、来期の「資金収支表」予測を立ててみましょう。
資金収支表作成に不可欠な「貸借対照表」予算については、来期の「資金収支表」を予測する項であらためて説明いたします。
慌てずに一歩、一歩を着実に。