2000年3月から上場企業に対して「キャッシュフロー計算書」の作成が義務付けられました。
いかに現金・預金を増や増やすかだけではなく、限りある「現金・預金を如何に効率よく有効活用しているか」が求められるようになったのです。

自分自身を振り返って考えてみれば理解しやすいです。
懐に一万円札があります。
その一万円札を使って
「酒が飲みたい」
「前から欲しかった本を買おうか」
「それともセザリア・エヴォラのCDにしようかな」
「いやいや今日は妻と出会った記念すべき日だった。花束とケーキを買って帰ろう」
「でもなあ、いまさらそんなことをすることもないかな。やっぱり必要なときのために 使わないで取っておくことにしようか」
などなどを一所懸命に悩んだ経験はありませんか。

簡単に言ってしまえば、もっとも有効な一万円札の使い道を探る、それが「キャッシュフローの基本的な考え方」なのですから、ちっとも難しくはないでしょう。

でもわたしは太郎は、銀行借り入れのための資料作りに、使い慣れた「資金収支表」で話をすすめていきたいと思いますけれど、ご参考までに「キャッシュフロー計算書」(直接法)を載せておくことにします(機会がありましたら、詳細に説明する頁をあらためて設けます)。

「キャッシュフロー計算書」(直接法)

直接法
Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー
       営業収入
       △ 原材料・商品の仕入支出
       △人件費支出
       △その他の営業支出
       小計
       受取利息・受取配当金
       △支払利息
       △損害賠償金の払い額
       △法人税等支払額
営業活動によるキャッシュフロー合計
Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー
       △有価証券の取得
       有価証券の売却
       △有形固定資産の取得
       有形固定資産の売却
       △投資有価証券の取得
       投資有価証券の売却
       △貸付金支出
       貸付金回収
投資活動によるキャッシュフロー合計
Ⅲ 財務活動によるキャッシュフロー
       短期借入金
       △短期借入金返済
       長期借入金
       △長期借入金返済
       社債発行
       △社債償還
       株式の発行
       △自己株式の取得
       △親会社による配当金の支出
財務活動によるキャッシュフロー合計
現金・預金の増減    Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ

「資金収支表」と同じように、「損益計算書」と「貸借対照表」の数字をこの表にただ埋めていけば「キャッシュフロー表」は完成します。

「資金繰り表」は現金・預金残高の過不足を管理するものですが、「キャッシュフロー表」は、現金・預金をいかに有効に活用したかの検討に重点を置いています。