キャッシュフロー計算書間接法の作成にはそれほど手こずりませんでしたが、簿記を一度たりともきちんと学んだことのないわたしにとって、キャッシュフロー計算書直接法の「精算表」作成にはほとほと手を焼きました。

「壁を乗り越えたらまた壁が立ち現れ、やっとのことでその壁を乗り越えることができたら、また目の前に壁!!」。壁にぶち当たっては右往左往し、見よう見まねで、どうにかこうにか一年間分の「歴月」のキャッシュフロー計算書直接法までこぎ着けることができました。

「現預金勘定」は、計算結果と一致してはいるものの、それはたまたまであって、自信をもって会得できたとは言い切ることはできません。

キャッシュフロー計算書直接法を完全に習得できるまで、わたしが代表者をしていた45年間の試算表と決算書を書類棚からすべて取り出して、これからのちも勉強を続ける覚悟です。

勉強は教えられてするものではなく、自分が苦労して、会得し続けていくものです。

実は、ずいぶんと前のことになりますが、二週間後の実力試験の準備をお願いしたいと、親に頼まれて、偏差値30の中学二年生の勉強をみたことがあります。

分厚い問題集は避け、厚さが二センチもない、基礎問題集を選んで取り組ませたところ、わずか二週間、熱心に取り組んだだけで、実力試験の結果ですが、塾に通い続けている同級生たちを抜いて、クラスの上位に躍り上がりました。とくに英語に限れば、偏差値30から70への大躍進ですから、先生はもちろんのこと、本人が一番びっくりして、「オレってできるんだ」とみずから感心していたほどです。

成績を上げるには、ただ塾に通わせればいいというものではなくく、本人にしっかり学ぼうとする意欲の有無が必要条件となります。

経営者が学ばなければならない「管理会計」の習得も同様で、読んだ本を参考書として机のわきに置き、自社の決算書類・試算表と、それこそ会得できるまで取り組み続けることが必要なのです。

「計数が分からない」経営者は、獲得できた営業のすべてが「棚ぼた」のわたしが言うのもなんですが、どれほど営業や技術開発が得意であったとしても、それはそれで誠に立派なことではありますが、真の経営者とはいえないでしょう。

では、これまで14回にわたって学んできた「キャッシュフロー計算書直接法」の総まとめをすることにします。

「キャッシュフロー計算書直接法」52期3月実績表



「精算表」作成の4回目は「支払利息」・「法人税等支払」・「配当金・役員賞与支払い」・「有形固定資産除却損」・「有形固定資産売却収入」。

支払利息    未払費用
納税引当金   法人税等
繰越利益剰余金  現金による配当
繰越利益剰余金  現金による役員賞与
有形固定資産  有形固定資産除却損
有価証券    有価証券除却益



損益計算書(52期3月実績)




貸借対照表(52期3月実績)





利益金処分案(52期3月実績)



精算表(52期3月実績)





キャッシュフロー計算書直接法(52期3月実績)






(注)勘定科目「短期借入金」の項には「長期未払金(リース料)」を仮置してあります。

キャッシュフロー計算書直接法(資金繰表に代わるものとしての52期4月~3月実績表)





損益計算書(52期通期実績)





貸借対照表(52期通期実績)





利益金処分案(52期通期実績)





精算表(52期通期実績)





キャッシュフロー計算書直接法(52期通期)






(注)「キャッシュフロー計算書直接法」の「精算表」作成にあたって、平井謙一氏の著作『資金4表の完全理解と実践応用』(生産性出版1999.12.20第1刷)を参考とさせていただいたことをおことわりしておきます。

次回は「消費税の算出」です。