左の写真は苗場です。お百姓さんは田植えのまえに、このようにして苗を育てていたのですね。
週刊ダイヤモンドの元編集長から、仕事を要約すれば「段取り」になる、と教えられたことがあります。
どんなことをする際にも、まず「段取り」をしようということを、そのときにあらためて知らされました。
今回は「長期安全性」に引き続いて「短期流動性」をテーマにします。
短期流動性とは、流動資産を流動負債で割った比率のことです。当然、「流動資産>流動負債」なら支払い能力が高いといえます。流動比率は100%以上であることが必要です。ただ「定期預金」等が担保として押さえられているときは、その額を差し引いて計算します。
流動比率
式 流動比率(%)=流動資産/流動負債
流動比率の検討
日本政策金融公庫取引先データ(平成11年度)による数値
上位:優良企業
中位:平均的企業
下位:平均以下の企業
流動比率の検討
以下のA社・B社の貸借対照表をもとに流動比率の検討をしてみましょう。
B社の流動比率は70%と著しく低いです。これでは資金が回っていくはずがありません。銀行からの借入も毎年できていますので、付属明細書を調べました。
仮受金の全額は、かって業績が落ちて資金の状態が苦しかったときに、前社長が自分の預金を取り崩して会社に預けたもので、業績が改善するまで返済をしないという約束、つまり自己資本の一部として銀行側は見ているようです。
前社長は計数は理解していても、利益がでるように幹部社員を鼓舞し続けるのではなく、むしろ自己犠牲の方を選ぶような自虐的なタイプのような人間のようでした。それでは組織は動きません。業績を落とすのは当然のことです。
まとめ
流動比率をみると、A社よりも利益を出しているB社にも、一時期業績が悪かった痕跡をはっきりと読み取ることができます。
しかし、一方のA社は倒産し、B社は計数に強い新社長が就任してからは、しっかりと利益を出し続けていて、どうやら危機を脱した模様です。
計数の分かりかつ組織を動かすことをしる社長の存在の有無が両社の命運を分けました。
国税庁の調査によると、平成26年度の利益計上法人は87万6,402社であるのに対して、欠損法人が172万9,372社と大きく上回っていて、黒字の法人の割合はは33.6%ということになります。
帝国データーバンクの調べては、五年以上経常利益を出し続けている会社は二割の満たないということですが、B社の社長は就任以来七年間も経常利益を出し続けています。
中小企業・小規模事業者の多くはモノづくりや営業に強くても、計数に弱い人が多いと『黒字をつくる社長 赤字をつくる社長―うちの会社は大丈夫か』(祥伝社黄金文庫)の中で著者の林田 俊一が述べていますが、やはりそのとおりでした。