「使用総資本経常利益率」とか「長期資本収支」などの財務諸指数を考え出した人たちは凄いと思う。

わたくしたちは、ただそれらの財務諸指数を利用するだけで、積み木遊びのように、様々な会社の経営分析をすることができるのですから。

この諸指数を考え出してくれた人たちがもし存在していなかったとしたら、わたくしなどのような凡人が、管理会計を学習することなどは到底無理だったでしょう。

これらの財務諸指数を編み出してくれた先人たちには、だただ感謝するばかりです。

今日のテーマは、長期安全性を見る指数の三つ目である「固定長期適合率」。

えっ!「固定長期適合率」?

なんだか難しそう!!

いいえそんなことはありませんよ。会社が所有する「固定資産」が、「長期借入金」と「自己資本」で賄われているかどうかを示す指標にすぎないのです。

とてもよく似た指数に「固定比率」があります。

それは「固定資産」/「自己資本」で求められます。

つまり「固定資産」への投資はすべて「自己資本」でもってしろという指数なのですが、日本企業のほとんどでは、上位で200%、中位で300%、下位では450%前後。

原則である100%を割る企業は日本ではほとんどありません。

固定長期適合率

式  固定長期適合率=固定資産/(自己資本+自己資本)

固定長期適合率(%)

日本政策金融公庫取引先データ(平成11年度)による数値
上位:優良企業
中位:平均的企業
下位:平均以下の企業

固定長期適合率の検討

A社・B社の貸借対照表をもとにして、固定長期適合率の検討をしてみましょう。

まとめ

A社の「固定長期適合率」は39%という抜群にいい数値。ただ固定資産の54%が本業への設備投資ではなく、本業以外の「投資有価証券」となっているのが不安材料。
B社の「固定長期適合率」は110%の下位。

固定資産が自己資本+固定負債を66上回っており、これを長期未払金・仮受金で調達している。

次回からは「短期流動性」をテーマとします。