休日はほとんどの時間を、youtubeで音楽を聴きながら、読書をしたり、小説のプロットを作ったりして過ごしている。

聴いている音楽は、学生時代によく聴いていた、深夜の音楽番組「ジェットストリーム」、バッハ、シャルル・アズナブールが唄うシャンソンや「プラハの春」でウイーンに亡命したドプチェクを支持する両親のもとで育った、妖精のように美しい娘さんから教えられた、「プラハの黄金の声」カレル・ゴットの唄を繰り返し繰り返し聴いている。

読む本も、新刊本を読むことはほとんどなくなり、これまでに読んだ本を書棚から取り出しては、これまた繰り返し繰り返し、飽きることなく読み続けている。

最近読み返した本の中で、特に気に入っているのが『マジソン郡の橋』・『橋の上の貴婦人』・『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の三冊。

わたしは複雑すぎる女性の心の内を読むのを、昔から大の苦手としてきた。

女心を理解出来ないあなたに、いくら趣味に過ぎないといっても、小説など書けるはずもないでしょう、と妻からはいつも言われ続けてきた。

『橋の上の貴婦人』は、胸ときめくような男性にあった記憶もないし、永遠の愛を打ち明けたこともない。いやになるほどの退屈な舞踏会、夜会、茶会があって、そして夫がいた。三人の娘の母となったイザベルの前に現れた若き画家との一瞬の痛切な愛。

『マジソン郡の橋』は、夫と子供たちが子牛の品評会に出かけた留守を守る主婦フランチェスカと、ローズマン・ブリッジの場所を尋ねてきた写真家ロバートキンケードとの、わずか四日間の、めくるめくような愛の交換を描く。

イザベルはもちろんのことだが、とくにフランチェスカとキンケードの愛の交換の場面に詳細に描かれていた、フランチェスカの心のうちに、ついに、複雑な女の心の内を読み取れたような気がした。

そのことを妻に伝える。

「だから『マジソン郡の橋』は、あれだけヒットしたのでしょう。いい教科書を見つけたわね」、とはじめて褒めてくれた。



月曜から金曜日までの五日間は、会社で机に向う。

友人たちのほとんどは引退している。

仕事をしているのはわたしぐらいなものだろう。

でも会社の中で、自分にしかできない仕事(息子にはすべて伝えてあるので、二人だけということになる)があるというのは、実に幸せなことだ。

「限界というものは自分自身が枠をはめて決めっけてしまっている」

これは誰の言葉だっただろう。

すっかり忘れてしまった。

でも「今ある自分を打ち破り、超えていく」という作業は、七十六歳になった老人にも可能と信じ、これからも挑戦をし続けていこうと、代表者を引退してから五年が過ぎたが、会社にいる時間は五時間もないけれど、書類作りに没頭している。

毎日の集荷配達の荷物量、売上高、従業員別の走行距離・労働時間、高速料は「運転日報」と、パソコンで見ることができる社内資料により確認できるようになっているので、出社一番に、ドライバー別日々の損益は算出している。

荷物量と日々の気温との動きも、20年以上にわたって、毎日、記録し続けている。

月初めに、部門担当者から発表がある、前月の部門別損益と総合損益も、20日までには経理責任者から正確な「暦月試算表」が提出されるけれど、その数値と部門担当者発表の数値とは、ほとんど差がないほどに確実性を増してきた。

わたしの主たる仕事は、

① 当社では、「仕入・外注費」以外の費用はすべて「一般管理費」とまとめられているので、「部門別損益計算書」を使って、「労務費」と「一般管理費」とに分けて、総合損益計算書を作成し直す。

② その「損益計算書」に基づいて、「損益分岐点分析」をして、月々の損益が「優良企業」・「普通企業」・「損益分岐点企業」・「赤字企業」なのかを月々確認し続ける。

③ 「部門別損益分岐点分析」は各部門長から報告があるので、わたし自らも必ず作成しておく。

④ 「損益計算書」と「貸借対照表」とを組みあわせて、経理とは別に、「キャッシュフロー表」・「資金移動表」・「資金収支表」を作成する。

この①から④は、決算の数字が決まる、決算期ごとにも必ず行う。

さらには、時間があれば、過去のすべての期の「部門別損益分岐点分析」・「暦月総合資金繰りチェック表」・「決算期ごとの総合資金繰りチェック表」を、繰り返し作成し続けているから、会社での一日は、それこそあっという間に過ぎていってしまう。



帰宅してからの時間は、やはりyoutubeで、ここ半年余りは、金子由香利の「ラボエーム」、越路吹雪の「バラ色に人生」そして山下達郎の「reborn」の三曲を「ループ再生」にして聴きながら、文章を書く勉強をしている。

次回からは、わたしが会社でしている資料作成を教材代わりにして、これまでの総復習をしていこうと思っている。