金融機関は貸出をする前に、借り入れを申し込んできた会社や会社経営者の財務内容と信用調査機関から得た情報に基づいて、「信用格付け」を行っています。
以前にもお話ししましたが、銀行が貸し出す資金は、すべて預金者から預かったものですから、回収の危険性があるような会社には貸し出すことができないのは当然のことなのです。
しかし三年もしくは五年間のしっかりとした「経営改善計画」を立て、少なくとも策定した改善計画の最低でも80%の結果を実際に毎年残していけたなら、つまり回収の見込みが立つと判断されれば、金融機関は資金を出してくれます。このことについては頁を改めて詳細に説明することにします。
信用格付けは、概ね10段階で評価されます。4~6のランクが要注意先、7~10ランクが破綻懸念先に該当します。
信用格付けの例
会社も生き物ですから、危機に陥ることだってあります。
経営者にとっては、この危機も好機のひとつです。経営改善計画を作る経験をすることにより、自社の課題を数字に基づいて理解し、そのなかから解決する糸口を探し出すことができるのですから。
会社の業績を示す諸指標の中でもっとも大切な「使用総資本経常利益率」、すなわち「売上高経常利益率」(損益計算書分析の目標)と「使用総資本回転率」(貸借対照表分析の目標)の改善に全力をあげましょう。
飽くことなく経営努力を続けていく中から、「使用総資本経常利益率」の向上が毎決算期ごとに達成され続けていくなら、財務諸指標のすべては「同時に改善されていきます。
会社に訪ねてくる金融機関や証券会社、生命保険会社から、「儲かりますから是非に」と本業とは何のかかわりもない、投資話をしばしばもってくることがあります。
でもわたし自身、そして友人、知人のすべてが、「損をしてばかりで、ただの一度も儲けさせてもらったことがない」とぼやいています。
それはそうです。話を持ってくる営業担当者のすべては、顧客が損をしても、手数料がかせげればいいわけですから。
所有する資金はすべて本業の改善にあててください。それも莫大な投資のかかる設備ではなく、「客単価×客数」をいかに上げるかに使ってください。1×1は1でしかありませんが、2×2なら4、3×4なら14にもなるのですから。莫大な投資を考える前に、「客単価×客数」に目を向けて、改善に次ぐ改善に力を尽くすことです。努力しただけの成果はかならず出てまいります。
そして、金融機関の信用格付けを、7なら6へ、6なら5へと、ひとつづつ確実に上げていきましょう。
とにもかくにも、「使用総資本経常利益率」、すなわち「売上高経常利益率」(損益計算書分析の目標)と「使用総資本回転率」(貸借対照表分析の目標)の改善を続けることが眼目です。