21日、22日、23日の連休のうち二日間を、会社から持ち帰った資料の分析にあてようと思っていたが、わずか一日で終えてしまった。

孫たちが義娘(長男の嫁)の実家、といっても車でわずか十分ばかりいったところなのだが、泊りがけで出かけ、たっぷりと自分の勉強の時間がとれたからだと思う。

残りの二日間は、小説のプロット(設計図)の抽出に取り組むことにした。

プロット抽出に選んだのは、東野圭吾の作品『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の第二章『夜更けにハーモニカを』である。

この作品を何度読み返したことだろう。

そしてこの二章にくると、いつも涙があふれ出てくる。

その涙が出てくるわけを、小説を書く前の「設計図」にまで遡って、探りだしたいと、もうずっと以前から思っていた。

でも手を付けるだけの自信がこれまでなかった。

今回取り組んで、やはり思いのほか時間がかかって、昼食も取らないで取り組んだというのに、まとめあげるのに、まる二日間を要してしまった。

わが老妻は、読みながら書かれていることの裏側を読み取るのが、驚くほど上手だ。

しかしまったくの愚鈍でしかないこのわたしに、完璧な「設計図」が抽出できたかと問われても、「はい」と答えるだけの自信はない。

大学を中退して音楽家を目指す主人公。

しかし幾たびもコンテストに出場したが、プロの道は開けない。

コンサートに出席した客から、プロになりたいという主人公の願いとは全く別の、児童養護施設の慰問演奏ををすすめられ、引き受ける。

素敵なオリジナルの歌だ、といって主人公の曲を口ずさんでくれたのが、両親から虐待を受けて、弟とともに養護施設に入ってきたセリ

このセリが、天才アーティストとなって、主人公のオリジナル曲「再生」を歌い続けることになる

しかし、セリの弟を火事から助け出し焼け死んでしまった主人公には、そのことを知る機会はない



実家から戻ってきた義娘(長男の嫁)が、youtubeで『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を見つけてくれた。

私の膝の中に入って一緒に見ていた小学校4年生の孫娘も、第二章『夜更けにハーモニカを』の場面だけは、じっと画面に注視していた。

そしてセリが歌うreborn(再生)の場面で孫娘が振り返った。

頬に涙がつたっている。

わずか十歳で、セリの深い悲しみがわかるなんて、女の子はなんと成長が速いのだろう。

思わずわたしは孫娘を抱きしめていた。

以下に載せたのは以前ここにも書いたことのある、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の第二章『夜更けにハーモニカを』の構造。その下に付け加えておいたのが、今回抽出した「プロット(設計図)」。関心があったら、ぜひ見比べてほしい。



下の載せたのが、二日間取り組んで抽出できた、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の第二章『夜更けにハーモニカを』のプロット(設計図)。

このようなプロットを創造して、わたしも今度こそ、このような小説を書いてみたいものだ。