会議の席でしばしばでてくるのが、「利益が出ているのに何故資金がたりないのですか?」、という質問です。
会社は営利団体ですから、利益を出さなければならないのは当然のことなのですが、「利益」と「資金」とがまったく別の動きを見せる、というのが実はなかなか分かりにくいようです。
「損益計算書」と「貸借対照表」、「利益金処分案」の三つから作成した「キャッシュフロー計算書」で「利益」と「資金」の関係を見てみることにします。
今回も「T-logistics社」の社長了解を得て、56期の中期決算書を使わせてもらいました。
この期は業績が思うように出せず、それでもどうにかわずかながらですが「利益」を出すことができましたが、「資金」が大きく減少してしまいました。三月末の本決算で、よほどしっかりとした「利益」を確保できなければ、銀行からの借入は難しくなります。
借入金の返済は、「利益」からするものです。銀行は「利益」を出せないような会社は相手にしてくれません。
さっそく、「利益」と「資金」との関係を見てみることにしましょう。
キャッシュフロー計算書を見れば、もうお分かりですね。
「営業活動によるキャッシュフロ-」が「利益」を出しているにもかかわらず「マイナス」になっています。
この「営業活動によるキャッシュフロ-」が「プラス」になるだけの「利益」が出せなければならないのです。
現預金残高が大幅に減少しています。
この「現預金」がなくなった時が、会社の行き詰るときです。
(ご参考までに)
「キャッシュフロ会計」(現金主義)ではなく、発生主義(例えば、「売上」の相手勘定が「売掛金」、「仕入」が「買掛金」の場合、いずれも現金に動きはありません)にもとづく「資金収支表」(下に添付)では、営業収支は26のプラスとなっています。
現預金の増減は「キャッシュフロー計算書」も「資金収支表」も同じですが、「利益」と「資金」との関係がどうしても理解できないなら、現金主義にもとづく「キャッシュフロー計算書」を作成し、「営業活動によるキャッシュフロー」の項で確認ください。。「キャッシュフロー計算書」は「資金収支表」とは違って、「資金繰り表」そのものなのです。
「予測キャッシュフロー計算書」の作成には、「損益計算書予算」の他に「貸借対照表予算」、「利益金処分案」の二表の作成も必要になります。「貸借対照表予算」の作成には、過去の期の「損益計算書」と「貸借対照表」とのかかわりを綿密に検討することが不可欠です。
「予測キャッシュフロー計算書」を会得するには、日々の自主勉強を怠らないことです。とにもかくにも勉強、勉強です。