社長がどんな仕事をしているのかは社員にはわからない。

わたしも現場に入っていたことがあり、トラックを運転して問屋から荷物を集めてきたり、店舗まで配達にでかけることも経験した。

「ほかにまだやることがあるのじゃないか」
そんな陰口を叩く、幹部社員の言葉も聞いたことがある。

ほんとうにその幹部社員の言う通りなのだが、袋小路に入り込んでしまったわたくしは、机に座ってじっとしていることが、どうしてもできなかった。

途方に暮れたときに散歩にでて、街の風に吹かれていると、机にしがみついているときには思いもつかなかったような考えが、ときとしてひらめく。学生の頃からの習慣だ。

億を超える借入金の有る会社の経営者の考えることはただひとつ。資金繰りしかない。資金繰りをよくするためには、売り上げを伸ばすのではなく、収益を高めていく施策をこうじることしかない。

何度も言うようだが、それは「客単価×客数」をどうするかを考えるしかないのだが、前社長のように、実はわたしも同じようなものだが、親の遺産を会社に注ぎ込むという自己犠牲に走ってしまう経営者もいる。

しかし、自己犠牲では会社を救えない。

あくまでも収益を上げるためには、「客単価×客数」の改善に次ぐ改善しか施策はない。そしてこれだけが「経営改善計画」の眼目といえる。

この年は運送売り上げが激減しています。
東日本大震災の影響により、宮城・福島に向かう荷物が激減。
それでも経常利益のわずかばかりのマイナスは継続していても、資金収支表を見ると、「経常収支尻は」プラスに回復。

しかし、製造原価明細書をみると、何の改善策もとられていないことが一目瞭然。ここでも自己犠牲のみでことを凌ごうとする前社長の姿を垣間見ることができる。

経営改善計画の作成準備(3)

Y期 経営分析

次回からは、これまで勉強してきた過去の経営分析に基づいて、いよいよ「経営改善計画」の作成。

そしてその経営改善計画を実行するために登場したのは若き新社長。

これはその着手初年度Z期の成果。

Z期 経営分析