高校は当時県内でも有数の進学校に進学したものの、もともとの勉強嫌いが災いし、二年次の英語の副読本、ラインハルトを愛しながら、あきらめて別の人と結婚してしまう、エリザーべートとの恋の物語『みずうみ(”Immensee”』(シュトルム作)は、全文が頭に入ってしまうほど夢中になって、英語の教師がびっくりするほどの高得点をあげはしたものの、「漢文」を除いたほかの科目は、すべて下位に低迷し続けた。
「こんな勉強をして何になるなどと、余計なことは考えるな」、と教師はいうけれど、指定され科目のすべてを、とにもかくにも、頭に叩き込んでいかなければならない勉強という作業には、どうにもこうにも馴染むことができないでいた。
社会に出て分かったことだけれど、やはり学校で学んだ勉強は、何一つとして役に立つことはなかったように思う。
インターネットで検索してみると、やはり学校の勉強は役に立たない、と書かれてあった。
重要なことは「選択と集中」で、自分に必要のないことはバッサリと切る決断が必要である。
それでやっと納得できた。
中学のときクラスでも成績が下位だった同級生が、高校の野球部で活躍し、高田馬場にある名門私立大学にスポーツ推薦で入学し、妻が定期的に髪の手入れに通っている美容室の先生の孫も、小さい頃からレスリングと取り組み大会で名を挙げ、同じ大学に進学したことに。
「集中(力)」を身に着けるためには、とにもかくにも「音楽」でも「剣道」でも「絵画」でも「作文」でも「コンピュータ」でも、何でもいい、自分の好きなことを「選択」して、そのことに全力を尽くすことである。
もちろん勉強が好きなら、すべての科目で高得点を挙げて、偏差値を上げることのみに集中をすれば、偏差値の高い大学に進学できるだろうし、そのほうがスポーツで名を挙げることよりも楽かもしれない。
小さいときから勉強に没頭してきた妻の甥っ子は、息子と同い年だが、医者(奥さんも医者)になって、金沢駅すぐ側にあるホテルと棟を並べる6000万円もする高級マンションを購入・入居しているという。
「選択と集中」することのなかから、わたしたちが身に着けることができるのは「工夫」だ。
わたしたちはこの「工夫」を身に着けるために勉強しているのだということを、ようやく気づいた。
高校二年次の英語の副読本(ラインハルトとエリザーべート)の恋の物語を、その全文が頭に入ってしまうほど夢中になって読んだことが、あわせて英語の文法力を知らないうちに学ぶことになり、大学に入ってから、あらためて”Immensee”をドイツ語でも読み直すことができたし、レマルクやロマン・ロラン、ドストエフスキーなどの作品も「英語」と「ドイツ語」で読めるようになったのだ。
勉強は嫌いで嫌いでしょうがなかったけれど、二年次の英語で副読本『みずうみ』に出会えたことで、高校を中退せずに大学に入り、大学院まで進学できたのだ。
成績の悪さに劣等感にさいなまれながらも、その苦しみのなかで自分なりに「工夫」を学び得たことは、ありがたかったと思っている。
この「工夫」をすることを通じて、社会人になってから「計数」で試みたことを、これから述べてみたい。
T-logistics 社の「決算書」では、「損益計算書」は「モデル」としてよく使われる、次のようなかたちで掲載されている。
経営計画書」を作成するには、「変動費」・「固定費」への分解が大雑把なものとなり、「期間比較」により、各勘定科目や項目で、変動の大きい部分に着目する」と同時に、「同業他社との比較では、差異の大きいい部分に着目する」ことにより、問題点の抽出する必要があるのですが、この「モデル」のようなかたちでは万全を期すことはできない。
なぜなら【販売費及び一般管理費】のなかに【製造原価】までが一括されてしまっているので、正確な問題の抽出に手間どってしまう。
そこで次のような「部門別原価明細」の作成が必要となる。
この「部門別原価明細」を作成することにより、「他社比較」か可能となり、自社が同業者のなかでどこに位置するか明確となる「損益計算書」が完成する。