自分の会社が同業他社と比べてどのくらいの位置にあるのかを知ることは、経営改善計画の目標を定める上で、大切なことだと思う。

「平均財務諸指標」を調べたくて、日本政策金融公庫のホームページ(「中小企業の経営等に関する調査|日本政策金融公庫)
を検索したところ、かっては業種別に「上位」・「中位」・「下位」ですべての業種が載っていたのだが、現在(2020年8月掲載)では添付資料のように「調査対象数」・「平均値」・「標準偏差」という形に変わっていた。

これは「データーバンク」で出版している「経営分析資料」でも同じで、業種別に「調査対象数」・「平均値」・「標準偏差」が記載されるように変わっていたのです。

ところで「標準偏差」ってなんだろう、

標準偏差算出式




「標準偏差」とは、その値が小さければ小さいほどバラツキが小さく、値が大きければ大きいほどバラツキが大きいいうことらしい。

そして「標準偏差」には「68%95%ルール」があります。

平均が50点で標準偏差が10なら、40点から60点の間に68%、30点から70点の間に95%が存在し、

標準偏差が15なら、35点から65点の間に68%、20点から80点の間に95%が存在していることになります。

つまり標準偏差10よりも標準偏差15の方がバラツキが大きいということになります。

「正規分布」を描いたとき、「標準偏差」が小さいときは曲線が中央の平均値に集まり、「標準偏差」が大きいときは、なだらかな曲線を描くということです。

でもこれまでの資料のように、「上位」・「中位」・「下位」という表示のほうが、分かりやすいように思けれど、これも時代の流れというものなのでしょう、習得しておくにこしたことはない。

ご参考までに1960年代に、公立中学校の理科教師桑田昭三氏が生み出した「偏差値の算出式」を載せておきます。

偏差値の算出式
偏差値=((自分の得点-平均点)÷標準偏差)×10+50

データーバンク「経営分析」をみてみると運送業の標準偏差は以下のようになっています。

調査企業2007社 売上高6億円 売上高経常利益率1.86% 標準偏差4.13

A社の売上高5億9千5百万円 売上高経常利益率9.3%

A社の偏差値=((9.3-1.86)÷4.13)*10+50=68

下に添付した偏差値一覧を見ると、A社の68は調査企業2007社のなかで4%内(81社内)に入っていることがわかります。

偏差値表

この「標準偏差」と自社の売上高経常利益率から、自社の偏差値を割り出し、業界の中でどのあたりの位置しているかを確認し、「来期の予算」および「改善計画作成」にあたって具体的な目標を設定して欲しい。

しかし、日本政策金融公庫の財務諸指標をみると、それぞれの指標ごとに「標準偏差」が異なっている。次回からはそれについて検討してみたいと思う。