銀行借り入れのとき、代表者は債務に対する個人保証を求められます。
さらには会社の土地だけでは担保が不足するときに、代表者個人が住まう土地の担保提供も求められることがしばしばです。
ですから、会社に万が一の時があったときには、代表者は会社だけではなく、自分および家族が住まう家まで、すべて銀行に持っていかれてしまうことになります。
そんな万が一の危険に備えるため、もし資金に余裕があればの話ですが、担保提供者である代表者は、役員報酬のほかに「担保提供・債務保証料」をもらうことができます。
わたしが経営してきた会社は、ただでさえ資金繰りが苦しいことが続いてきましたから、役員報酬のほかに「担保提供・債務保証料」までもらってしまうと、かえって自分の首を絞めてしまうことになりますから、わたしはこれまで一度たりとももらったことはありませんし、役員報酬も同様で、管理者の中にはわたしよりも高給取りが五人ほどいます。
もっともわたくしの場合は、新規事業に取り組んでは失敗し、会社に多大なる迷惑をかけてしてしまったことへの責任をとっている、という意味合いも当然のこと含まれています。
さて銀行借り入れに対する代表者の債務保証ですが、信用保証協会の金利(1%未満)が最高限度となっていますので、それ以上取ってしまうと、税務署からは損金(経費)としては認められず、役員賞与(利益金処分)と見なされてしまいます。
信用保証協会の金利(1%未満)より下なら、代表者に支払う「担保提供・債務保証料」は、会社の損金(経費)となります。
そのかわり、代表者個人にとっては「雑所得」として確定申告で申告をしなければなりませんので、税から免れるわけにはいきません。
くれぐれもご留意ください。
信用保証算出式は以下の通りです。
信用保証(算出例)
さて本題から離れ、私の趣味の話に入らせていただきます。
女性作家の作品をまったく読んだことのないわたくしに「宮部みゆき」の作品『本所深川ふしぎ草紙』をすすめてくれたのは、わたしが経営する会社の経理責任者です。
埼玉県北の県立有名校を出て、都内の超有名私立大学を卒業した彼が(彼ならどこの上場企業からも引く手あまただったろうに)なぜ当社のような地方の中小企業に入ってくれたのか、今もって「不思議」でなりません。
しかし会社にとって本当に得難い人材です。
わたしが苦手とする「税務会計」に精通し、代表者であるわたしが目を通さなくても、経理書類をきちんと整えてくれていたのは、彼の卓越した事務能力のおかげです。
彼は読書中毒者であるわたくしに勝る読書家で、仕事以外でも多々教えられることがあり、「宮部みゆき」の作品もそのなかのひとつなのです。
今日は読み書きの勉強(評論家島内景二の書物の題名『読む技法・書く技法』そのままをまねて)のために、彼がすすめてくれた『本所深川ふしぎ草紙』のなかから「置いてけ堀」を選んでプロットを抽出を試みてみました。