Yahoo知恵袋にこんな質問がのっていました。

銀行から、保証協会付きの融資1000万円を受け、順調に返済をしてきましたが、事業不振なので、あらたに借入を申し込もうと考えています。市価1500万円の自宅があり、それを担保に資金を借りることができるでしょうか。

 

問題点は以下の三つです。

  1.  借入を金額はどれだけを考えているのか。
  2.  事業不振
  3.  市価1500万円の自宅

 

問題点① 借入を金額はどれだけを考えているのか。

「順調に返済してきた」とありますが、前に借入れた「保証協会付き1000万円」の残高は、いくら残っていますか。返済残高が仮に500万円だとするなら、これまでに返済済みの500万円を再度申し込むことは可能かもしれません。

しかし「事業不振」ということでので、借りられる確率は非常に低くなります。

 

問題点② 事業不振では何故借りられる確率は低くなるのかといえば、返済金は「利益」から返されるものだからです。

新たに借入した借入金の返済額が、仮に月々28万円だとすれば、上乗せしなければならない経常利益は最低でも28万円(年間333万円)ということになります。

 

そんなときに銀行から求められる資料のひとつに「経営改善計画書」の提出があります。そして「経営改善計画書」の実行にあたっては、少なくとも経常利益予算の80%以上の達成が求められます。

 

「どうして銀行は貸出にこれほど慎重なのか」って? それは、銀行が私たちに貸し出してくれる資金は、預金者から預かったお金で銀行のものではないからです。

 

ですから「経営改善計画」が達成できなかった万一の時に備えて、つまり資金の回収を確実なものとするために、「担保」を求めてくることがあります。

 

問題点③ 市価1500万円の自宅の「市価」の意味は、ご近所で売買された「実勢価格」のことでしょうか。土地の価格には「実勢価格」「路線価」「公示価格」「基準地価」などがあります。

 

銀行では「実勢価格」を担保価値とは認めてくれません。公示価格(国土交通省発表)の70%が精々でしょう。お住いの区市町村の課税課から毎年郵送されてくる「固定資産税・都市計画税」の「課税明細書」の所在地番の横に書かれた「価格」が所有する土地・家屋の「固定資産評価額」ということになります。銀行が担保として認めてくれるのは、この「固定資産評価額」の金額ほど、ということになります。

 

質問者の、市価1500万円の自宅の「市価」を「公示価格」の意味とすれば、所有土地の「担保価格」は1050万円ほどだと考えてください。

 

土地が借地で、建物だけが自分の所有だとすれば、「固定資産評価額」は数百万円程度で、「優良担保」とは見てくれないでしょう。

 

「担保」の有る無しが問題なのではなく、問題①②③のなかで、一番怖いのは「事業不振」ということです。例え「経営改善計画書」を提出して借入ができたとしても、計画の進捗状況が思わしくなければ、銀行からは「破綻懸念先」とみられて、二度と貸してもらえなくなるでしょう。

 

税務署に提出した「貸借対照表・損益計算書」には、経営者がこれまでにしてきたさまざまな問題点が隠されています。

 

「税務会計」は顧問税理士にまかせ、「事業不振」に陥らないためにも、経営者は「管理会計」を身につけることです。過去の「貸借対照表・損益計算書」から「経営分析」を身につけ、そして翌期の「貸借対照表・損益計算書」を作成できるまでになってください。

 

「経営分析」をできるようになれば、つくりあげた「キャッシュフロー表」もしくは「資金収支表」を利用して、自分なりの「資金繰り表」も作成できるようになります。

 

銀行から資金を借りることができるよう、とにもかくにも「事業不振」から脱出する。それしかありません。