文章を書くことは、書こうと思えば、すぐにでもできます。

しかしまともなものを書こうとすればするほど、ストーリーを作り上げることに四苦八苦するのは当然のこととして、テーマに即した資料を読み漁り必要な個所を写し取るなどする、資料を整えるための長い時間が必要になります。

でも資料を整えていく作業は結構楽しくて、瞬く間に時間が過ぎていき、書くことに取り組む時間をついわすれてしまうのです。

わたしは懇意にしている中小企業診断士から内緒で預かた財務諸表や、自社はもちろんのこと監査役をしている関連会社とか、講習会に出席しては集めた膨大な資料の中に埋没して、TVをみるのはもともと嫌いでしたし、好きだった小説には目を閉じて、たっぷりとありあまる時間を費やすことで、毎日を送っています。

今の年齢は昔の八掛けといわれていますけれど、もういつ亡くなっても惜しくない年齢となりました。

45年間ため込んだ経営分析の手法をすべて吐き出すことを目標においていますが、歳をとってからも、資料作りという遣り甲斐のある仕事を持ち、頭を使える時間を持てるというのは、実にありがたく幸せなことで、会社を残してくれた亡父に、ただただ感謝するばかり。

さて4月から新年度の中小企業も多いことでしょう。

社長さんの手元にはすでに「損益計算書予算」が届いているころですね。

経理担当者に「資金繰り表」を作ってもらうのはもちろんですが、社長自らも、以下の手順をまねて、ご自分の手で作って見られることをおすすめします。

「損益計算書予算」と「前期の財務諸表」を手元に準備ください。

その二つを使って、「貸借対照表予算」を完成し、さらにこの「貸借対照表予算」と「損益計算書予算」を組み合わせて「資金収支表予算(資金繰り表)」をつくってみましょう。

貸借対照表予算作成準備

前期の決算書に基づいて、売掛金・棚卸資産・買掛金の回転期間を算出して、予算表の売上高・仕入外注費(この表では売上原価)を使って、売掛金・棚卸資産・買掛金を割り出す。

売掛金・棚卸資産・買掛金の回転期間を算出

投資計画の作成

資金計画の作成

貸借対照表シートへの転記

貸借対照表予算の完成

損益計算書予算

資金繰り予算

完成した予算の損益分岐点分析

今回は新年度一年の「資金収支表予算(資金繰り表)」の作成に挑戦しました。自社の「損益計算書予算」から、これをそのまままねて、各月の「資金収支表予算(資金繰り表)」の作成に取り組んでみてください。

次回はそのためのサンプルとして、中間納付税のある、11月の損益予算から「資金収支表予算(資金繰り表)」を作成してみましょう。

経営分析の頁をただ眺めているだけでは、前の頁でも申し上げましたが、動物行動学の権威日高敏隆氏がおっしゃっているように、「それほどの効果を上げえない」。頁に書かれた資料のひとつひとつを写しとり、自分でも再計算をして確かめてみることが会得の早道。