「年度予算の作成Ⅳ」の頁で述べた、「損益計算書予算」が提出された後に、社長が取り組むべき「各月資金繰り表予算(ここではサンプルとして11月度損益予算を取り扱う)」の作成を復習を兼ねて示しておこう。

「資金繰り表(ここでは資金収支表)」作成の流れ

① 当期の財務諸表から「売掛金・棚卸資産・買掛金」の回転期間を算出。
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② 「投資計画」と「資金計画」をたてる。
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③ 「回転期間」・「投資計画」・「資金計画」にもとづいて、「貸借対照表予算」を作成。
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④ 「損益計算書予算」と「貸借対照表予算」から「資金収支表(資金繰り表)予算」の完成。
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⑤ 「損益計算書予算」の「売上原価」と「一般管理費」を「変動費」と「固定費」に分類し、「損益分岐点分析」の予測する。
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⑥ 作成できた「損益分岐点分析」から、「限界利益」・「限界利益率」・「損益分岐点売上高」・「経営安全余裕率」等を予測。
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⑦ 提出された「損益計算書予算」の「利益」ではなく、社長がどうしても経営上必要としている「利益目標」をあげるのに必要な売上高はいくらか」
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⑧ 売上高の5%ダウンは避けられず減益必至。前期並みの経常利益をあげるには、いくら費用を節約しなければならないか、などの計算もあらかじめしておく。

この「流れ」にそって計算さえしておけば、「計数をわがものにした」ことになります。

経理責任者は会社全体を見ることはできないけれど、この「管理会計」の方法さえ身につけておいたなら、名実ともに「会社の船長」になったと断言できるでしょう。

「年度予算の作成Ⅳ」は一年間をまとめて見てきましたが、各月予算から①~⑧までの流れを作成してみましょう。

この表の結論である損益分岐点分析予測から、収支マイナスの月を埋め合わせるために、社長が前もって何をしておかなければならないか、が見えてくるはずです。

11月貸借対照表予算作成準備

11月売掛金・棚卸資産・買掛金の回転期間を算出

11月投資計画の作成

11月資金計画の作成

11月貸借対照表シートへの転記

11月貸借対照表予算の完成

11月損益計算書予算

11月資金繰り予算

11月予算の損益分岐点分析

以下の二つはご自身で計算されてみてください!!

⑦ 提出された「損益計算書予算」の「利益」ではなく、社長がどうしても経営上必要としている「利益目標」をあげるのに必要な売上高はいくらか」
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⑧ 売上高の5%ダウンは避けられず減益必至。前期並みの経常利益をあげるには、いくら費用を節約しなければならないか、などの計算もあらかじめしておく。