こうして「経営分析」の何度かの再復習をしながら、社長に就任したての45年前に、もしこれだけの知識をもっていたら、会社はもっとましなものになっていただろうな、と思う。
会社を経営することではなく、社会人としての人生の大半を「管理会計」を学ぶことに費やしてしまったことを、後悔とともに深く反省をしている。
進学をするためにただ暗記させられて、「実力」試験を終えるごとに、校内の廊下に張り出される順位表に象徴されるような「受験勉強」は嫌悪し続けてきたけれど、自ら学ぶことは好きであった。
結局ものにはならず、時間の大変な無駄使いをしてしまったけれど、文章を書いたり、小説に手を染めたのも、頭の中であーでもないこーでもないと考えながら、何かを作り出そうと懸命になって取り組んでいる時間が、それはそれは楽しくてなかった。
だから学ぶという事は人から教えてもらうのではなく、みずから頭に汗をかいて、取り組むべきことだと信じている。
ただ教えてもらうだけではものにはできない。
学ぶために、自ら汗水を垂らし、技術を獲得し磨きを上げていこうという心がけが不可欠なのだ。
わたしは新田次郎の山岳小説が大好きだ。
富士山山頂の観測所に、昭和7年から12年まで勤めていた新田次郎は、彼にしか書けない作品群を作り出し続けた。
小説に登場する人物のだれもが、身命を捨てて、「二百余間に余る絶壁をくりぬいて道を通じようとする」する、菊池寛の小説『恩讐の彼方に』の主人公に一脈通じるところがあり、ただそれだけのために登場人物たちはだれもが没頭している。
真剣に取り組み続ける姿はほんとうに美しい。
みなさんにも「経営分析」を通じて経営者が知っておくべき「管理会計」を、それも私のように生涯をかけるのではなく、できるだけ短時間にものにして、継いだ会社を「宝石のような会社」に磨き上げていってほしい、と願うばかりだ。
今回のテーマは、「その他の主な財務諸指標」その2「経営資本回転率(回)」。
経営資本=総資産-(建設仮勘定+遊休資産・設備+投資+繰延資産)
「経営資本回転率(回)
売上高 ÷ 経営資本
指標の意味
経営資本でどれだけの売上高を上げたか
判断基準
数値が高いほどいい
すなわち、同じ売上高なら、小さな経営資本であげたほうが状率がいい。
明らかに状況は悪化し続けているにもかかわらず、国や地方団体は、このような策を講じようとしている、と公表できないでいるのだろうか。