半月ぶりにお目にかかります。

「ねえ、太郎さん。文章はともかくとして、添付されている資料の内容が難し過ぎて分からないよ。どうにかして」、との声をいただきました。

分かりやすく書かなければならないのは勿論ですが、そんなに難しいことを書いている覚えはないのです。

最初は何ごとも難しく思えるものではないでしょうか。小学校で初めて学んだ算数の掛け算・割り算や国語の漢字を思い出してください。とても難しかったはずです。

けれど、学年がすすむにしたがっていつのまにか頭の中には入っていて、掛け算・割り算をすらすらときるようになり、漢字も書けるようになっています。

「管理会計」も同じです。

毎日勉強を続けていけば、何時の間にか自分のものになっています。

出来るだけ分かりやすく書いていくつもりですけれど、みなさんもぜひ頑張ってください。

若い頃、銀行の融資担当者を対象にした講習会に、「太郎さんなら銀行員に後れを取るようなことはありませんから」と、銀行員の友人にすすめられて、ただ一人の部外者として、参加せてていただいたことがあったことは、前にも書きました。

中小企業の社長などに分かるはずがない、と他の参加者たちにはさんざん馬鹿にされました。しかし、最初の授業で、銀行員の彼らの方が、何も知らないことが判明しました。

それはそうです。彼らは分かったつもりでいても、「貸借対照表」と「損益計算書」に書かれた数字をただコンピューターに入力するだけで、「経営分析」ができてしまっていたのですから。

もしソフトが入っていないコンピューターで、自分の力だけでエクセルを使って「経営分析」をしてみなさい、と言われたなら、彼らのほぼ全員がお手上げなのです。

だって簿記の基礎である、「振替伝票」を作成することさえ、銀行員である彼らのほとんどが知らなかったほどなのです。

「損益計算書」は見ただけで、利益が出ているかどうかは分かります。しかし「貸借対照表」はそうはいかないのです。読めない経営者は大勢います。

今回から、改めて「貸借対照表」の勉強をすることにいたします。

第一回は「土地」の価格について取り上げます。

毎年春になると、各市町村から、土地を所有する個人、会社に宛てて、「固定資産税・都市計画税納税通知書」が送付されてきます。

「通知書」に添付された「課税説明書」の「価格」が、「固定資産税・都市計画税」の計算基礎となります。

税の算出方法はこの頁のテーマではありませんので省略させていただきます。お知りになりたい方は、インターネットで検索してください。

「固定資産税・都市計画税」の算出基礎となる「価格」はどのようにして算出されるのでしょうか。

土地の価格を表す基準には四つあります。

「公示地価」は国が示す売買価格。

「市場価格」は売主と買手の双方が話し合って決めるもの、一応、「公示価格」の百二十パーセント前後。

「路線価」は国税庁が決定する「公示価格」の八十パーセント。

「固定資産評価額」は固定資産税・都市計画納税通知(毎年市区町村から各家庭に送られてくる)の計算基礎となる評価額で、公示価格の七十パーセントとなっています。

「固定資産評価額」は、「公示価格」の七十パーセントですから、この評価額から「公示価格」がどれだけかを計算してみましょう。

仮に「固定資産評価額」23,000,000円とし、公示価格をXとすれば、計算式は次の様になります。

X=23,000,000/0.7=32,857,143円

「路線価」は「公示価格」の八十パーセントですから、32,857,143/0.8=26,285,714円

「市場価格」は売主と買手の双方が話し合って決めることになりますが、一応、「公示価格」の百二十パーセント前後と見て、32,857,143×1.2=39,428,571円と見積もることができます。

自社もしくはご自宅の、四つの土地価格を、上の算式を元にして算出してみてください。

貸借対照表に記載された価格が、市場価格に比べて大きければ大きいほど「含み」があることになり、もし小さければ小さいだけ「含み損」が生じていることになります。