古希を越えてから早いときには午前三時、遅くても四時には目覚めることが多くなった。
十代の頃も午前三時には起きていたから、昔に戻っただけなのかも知れない。
こんな話をすると、いつも何時に寝るのですかと聞かれる。たいがい九時半ごろですと答えることにしているが、昔から本を読まないでは寝られない質だから、眠りついた時間は自分には分からない。
本に挟んだ栞を見ると、少なくとも小一時間は読書をしていたはずなのだが、部屋の電灯を消しに来る妻は、床に就いたとたんに寝ついているという。わざわざ人の部屋を通ってベランダに出て洗濯物の夜干しに来る嫁も、読みかけの本を畳の上に投げ出したまま、まったくひどい寝相をして熟睡している、と妻に調子を合わせる。
古くからの友人たちは、全員が夜ふかし派である。
大学時代、午後からのゼミに毎回のように遅刻する先輩がいた。
決まって「寝坊をした」言い訳をする。夜は時間が無制限なので、勉強をしているうちに朝になってしまうのだという。
つい先日、寝付かれないままマルコム・グラッドウエルの「成功する人々の法則」を読んでいて、次の言葉を見つけ思わず膝を打った。
「才能ある人間の経歴を調べれば調べるほど、持って生まれた才能よりも、訓練の役割がますます大きく思える。・・・。調査から浮かび上がるのは、世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、一万時間の練習が必要だということだ」
先輩は大学の四年間、夜を徹して毎日七時間以上勉学に励んだ。
一方早起きの私は早朝に三時間ほど勉強をしただけである。
一万時間に達するには、先輩はは四年間ですむが、私は九年を費やさなければならない。
同じ大学院のそれも同じゼミに席をおきながら、先輩は大学教授の道を進み、私は学位をとることなく中退し、父が経営する従業員百人ばかりの中小企業に入らざるを得なかったのは、そのせいだったのだ。
「自主性、複雑さ、努力が報酬を生む」、とも書かれていた。
銀行の融資窓口で、こんな社長さんを見た。
「三千万円さえあれば会社はどうにかなるのです」
その話を聞きながら、三千万円あればどうにかなるという証の資料を何故整えてこなかったのだろうか、と私は思った。
中小企業の社長にはモノづくりや営業に強くても計数に弱い人が多い。
私の知る五十代の社長は、売上高百億を超える会社を「経営」している。父親の会長がカリスマで、銀行からきた役員が会計のすべてを握っているから、数字がまったく分からない。
分からなければ勉強の時間をつくればいいのに、それさえしない。
私も父からは何も教えられていない。
設立時から今日までの決算書から「資金収支表」を作成し、前期の決算の数字と各事業部から提出された予算表に基づいて貸借対照表予算を作成することで、経理とは別に、これから先一年間の資金繰り表を作れるようになったのも、すべて独学であった。
四十年以上会社を経営してきたから、その分野でならマルコムのいう「一万時間」ははるかに超えている。
経営分析の他には、本を読んだ時間も一万時間は軽く超えている。
文章を書く方は、斉藤信也先生(元朝日新聞記者)からの指導を初めて受けたのが四十代半ばだった。わたしなりに多忙な毎日だったので、書く練習に費やした時間は一日に一時間もない。
一万時間を、三十代四十代で達するならともかく、七十歳半ば過ぎてからでは既に秋遅しの感がある。だが、折角文章に出会えたのだ。一日も早く一万時間に達したいものだ。
「キャッシュフロー計算書」の作成の「前菜」として、いつものように小説のプロットの抽出をしたいと、葉室麟の『蜩ノ記』を選んでみたけれど、読むのにちょっと夢中になり過ぎてメモを取るのを忘れてしまい、次回まで先延ばしすることにしました。
「精算表」作成の2回目はとして、「仕入支出」の「精算表」を添付します。「買掛金」が増えればその分「現金」が出ないということですから、その分「売上原価」から引かなければなりません。下記の表は、買掛金ん0.2 売上原価0.2 の「修正仕分け」をしたことを現しています。
次回は「人件費」支出。
損益計算書(52期11月実績)
貸借対照表(52期11月実績)
利益金処分案(52期11月実績)
精算表(52期11月実績)
キャッシュフロー計算書直接法(52期11月実績)
(注)勘定科目「短期借入金」の項には「長期未払金(リース料)」を仮置してあります。