「昌さん元気になりました」。毛筆で元気よく書かれた一行の文面。 そして「睦子」の署名と、赤くべったり押された大きな印影。 奥さんからのはがきを見た妻は「おおらかな方のようね」とほほえんでいました。 四十代の半ばまで独り身 […]
「休憩のひととき」の記事一覧(4 / 4ページ目)
もう一つの「ある愛の詩」
従弟の素行君と、映画「ある愛の詩」を見に行ったのは、今から四十年ほど前のことである。私は当時彼の家庭教師をしていた。 ステーブマックイーン主演映画の「華麗なる賭け」とか「栄光のル・マン」ならともかくとして、大富豪の息子 […]
いくつになっても挑戦
「墓参りに行こう」 父に誘われて金沢に出かけたのは、落ち葉が舞い散る、三十八年前の晩秋のことであった。母方の墓地は、代々の藩主が頂に眠る野田山の裾にある。早くに男子を亡くした叔父は、無縁仏になるのを恐れ、姓は違うが、姉の […]
追い求めても叶わぬもの
年を取ったせいか、夜中に目が覚めることが多くなった。「目を閉じているだけでも身体が休まるから、横になったままでいたらいいのに」、と妻からはいつもいわれる。でも一度目が覚めてしまうと、もう眠れなくなる。隣の布団で寝息を立て […]